風来坊旅日記 第二話
「あれお前の仕事って商人の用心棒だったよな?」
「ああ、最初商人のところに行ったのだがすぐここに連れてこられた」
「ここって大庭って家老の屋敷だよな」
「ああ」
「宗八殿が最初に訪れた商人って誰か教えてもらえぬか?」
「ああ、大黒屋藤兵衛だ、今頃大庭はそこにいる」
「大黒屋のところかかたじけない」
「新左衛門殿大黒屋へは行ってはダメだ。」
「なぜだ?」
「大庭ははなから俺をあてにしていない。俺と新左衛門殿が戦っている隙に自分は逃げ、大黒屋で金で雇われたやくざものと合流し、新左衛門殿殺すという筋書きだ。」
「そうだったのかまんまと大庭の罠にはまったという事か危ういところであった。」
「あの野郎許せん。」
「信之丞が怒るとは珍しいな」
「宗八聞いてくれよ」
と信之丞が宗八にこれまでの事を話した。
「そういう事か」
と宗八は納得した。
「俺の用心棒は今日までなんだ、理由が分かった。」
「で、宗八はどうすれば報酬を貰えるんだ?」
「新左衛門殿に深手を負わせればいいと言われている。」
「なら一芝居打つか」
「一芝居?」
「私に考えがある、新左衛門殿、宗八、協力してくれぬか?」
「私はかまわない」
「俺もだ」
「では、まず宗八は新左衛門に深手を負わせたと伝えに大黒屋に行く、新左衛門殿はここから帰る道中誰に見られてもいいように切られたあとと血を付けて道場に帰る。おそらく大庭の手の者が宗八の言葉を信じきれず見に来るだろう。傷を確認したら、大庭の元に連絡が入る、宗八の仕事は終了し報酬を貰う、そのまま宿で泊まり朝を待つ。新左衛門殿は道場についたら、」
作品名:風来坊旅日記 第二話 作家名:緑茶