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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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メダカさんと金魚さん…時に卵と赤ちゃん。

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金魚が…?!しかもひっくり返ったまま…と驚いた。
私にしっぽを突付かれたくないのか、その日から私の足音がすると、慌てだし自ら助走を付けて網の下へと潜るようになった。
お母さんも驚いていたけど、
『あなたが怖いのよ。金魚も学習するんだね~。』
と言って、たまに助走を付ける転覆さんを見学していた。

そんなことが続いている中、私が気になっていたのが混ざり物メダカたちだった。
餌をあげても数匹だけが撒いた餌の所に寄ってくるだけで、後は潜んでいる。
こいつらはどうにかならないかと考えていた。
餌のあげ方でどうにか仲良くなれないかと思った私は、メダカ用の餌以外にも一センチもない生きているタニシを与えていたのだが、これを使って何か出来ないかと考えた。
タニシをメダカの口に入るくらいの大きさまで指で潰す。
それを今までは適当に与えていたけど、それを私の指に付けたまま水の中に入れた。
ベタベタしているわけではないので、ほとんどが指から離れる。
でも残っている所をメダカが食べに来るんじゃないかと実験が始まった。
…そんなことはお見通し…と言わんばかりにメダカにはバレていた。
私の指の近くを数匹が泳ぐだけで、ほとんどが下に潜っいているか遠くにいる。
でも私はへこたれなかった。
それを雨が降る日はせずに、雨以外の日も毎回はしなかったけど、二日に一回くらいしていた。
二週間くらい経った頃か、メダカの一匹が恐る恐る近付いては遠ざかってという行動をしていた。
私は手が動かないように、容器の縁に置いて固定した。
恐る恐るしていたメダカが近付いて私の指から餌を食べた。
…感動だ~!!
一匹が食べると徐々に近付くメダカが増えてきた。
それでも指側は怖いのか、指の付け根を触ったり手のひら側を触ったりと、餌のない所を突く奴も増えた。
そこまでなってしまえば、日毎に寄って来る数も増えて来る。
最初に寄って来たメダカは小さなメダカだった。
大将は全然来る気配もなく、みんなが問題なく私の指から食べ慣れたその後に、平然とみんなと混ざって寄って来た。
そして私の帰る日が近付いた頃には、メダカ用の餌を手のひらに乗せて水の中に沈めると手の中にメダカが入って来てそこで餌を食べるまでになった。
あれだけ逃げ足の早いメダカを何の努力もなく掬えるようになった。
もちろん大将も手の中に来るようになった。
でも大将だけは他のメダカと違い、手のひらに乗ると体が大きいせいか、魚が手のひらにぶつかっているような感覚だった。
お母さんに、メダカが手のひらに乗るようになった事を伝えたら、長年飼ってきたお母さんでさえもそこまでは懐いたことはないと言っていた。
これはいい機会だと思った私は、お母さんも同じようにメダカが手のひらに乗るかを試してもらった。
何の問題もなく手の中に入って来た。
ということは躾けた人にだけではないということが分かった。
そこまで懐いてからは、その容器の横を通る時にメダカの群れが付いて来るほどにまでなってしまった。
でもお母さんと私は言う。
『ここまでしちゃいかんかったかも…。誰かに盗まれたり…、野良猫に食べられたり…。これじゃあ、猫からしたら食べやすくしてくれてありがとうってなるね…。』
と目を見合わせそう言っていた。
メダカってある程度臆病なくらいが丁度いいのかもしれない…。


そして私は毎日毎日、メダカの卵の孵化を待っていた。
お母さんに、
『赤ちゃんが生まれない…。』
と言っていた。
それに対してお母さんは、
『だから、赤ちゃんが生まれるまでに最低でも二週間はかかるって言ってるでしょっ!!何回言ったら分かるの?!』
と言い返されていた。
『今何日目~?!』
と私は落ち込んで聞く。
お母さんは呆れて、
『まだ一週間も経ってな~いっ!!』
と一喝する。
そう言われ打撃を受けた私は、トボトボと卵さんの元へと行く。
そして、
『まだ生まれませんか~。』
と声をかける。
何の返事もあるわけがない。
上(神様)が一緒に容器の中を覗いて、
『気長に待ちましょうかね。』
と言う。
そしてまた私は落ち込む。
早く生まれてよ~。
毎日、一~二ミリほどの卵を見つめていて、何かに気付いた。
あっ、目だっ!!ちゃんと二つある…!!
出目の赤ちゃんだった。
出目だけに余計に目が目立ってる気がした。
目が合ってる気がしたので、私は上から手を振った。
振り返してはくれなかったけど…。
そのことをお母さんに伝えに行った。
『お母さ~ん、卵の中に目が二つあったよ~。かわいい~。こっち見てた。』
と言うと、
『へ~、目が出来てた?!そうしたらもうすぐ孵化するよ。目が出来たんなら生まれるまでは近いよ~。』
とお母さんのテンションも上がった。
『出目ちゃんのメダカだからか、目がかなり目立つよ。やっぱりその特徴が最初に現れるのかなぁ~。』
と私が言うと、
『変わったメダカを育てたことないからね~。また他の卵に目が出来たら見てみると分かるかもしれないね。』
とお母さんは言った。
それから何日してだろうか、出目の他の卵にも目が出来ているのを見つけた。
みんなこっちを見ていたので、一応手を振った。
そして二つ隣の容器には、パンダさんの卵を入れていた。
何処に卵があるか分からなかったのでいつも分からずだった。
でもその日は見つけた。
何故なら目があったからだ~。
パンダさんは出目と違って真っ黒の目が二つ付いていた。
出目は銀色っぽい大きな目で、パンダさんは真っ黒の小さ目の目だった。
まあ、何にしてもかわいい。
それから毎日、ガンバレ~っとエールを送った。

そして本当に二週間後、出目が生まれた…!!
やっぱり目はデカく見える。
ピンピンピンピンと泳いでいる。
かわいい~。
お母さんを連れて来た。
お母さんが、
『何処?!何処?!』
と聞く。
だから私は指を指し教えた。
お母さんはそーっと覗いて、
『…………老眼だから見えない…。』
と一言。
『なんやねんっ!!』
と私も一言。
しばらくお母さんはその辺を見続けて、
『あっ、あっ、あっ、見えて来た、見えて来た。これね、これ。』
と指で指しそう言った。
時間差かぁ~とどういう意味だろうかと私は一応肯いた。

それからはほぼ毎日孵化しまくりだった。
パンダさんは孵化して最初から真っ黒目だった。
親に似てる~という感じ。
青メダカだけは卵の数も少なかったからか全然孵化せずに、三週間は過ぎた。
ダメになった卵もいると思う。
しかし四週間目から青メダカがいきなり増え始めて、結局出目とパンダさんの数を追い越した。

お母さんの所に元々いたメダカたちは、混ざり物メダカの卵の容器とその他のメダカの卵の容器二つに集めまくった。
その他のメダカの容器は小さい入れ物だったので、孵化しまくったらすぐに三十匹にも四十匹にもなる。
なので、混ざり物卵の大きな容器へとお引っ越し。
お引越しは、アク取り用の小さなお玉で赤ちゃんたちを掬いまくって、短く切った牛乳パックに入れて十メートル先の容器へ。
赤ちゃんが増えるとお引っ越しをして…と繰り返す日々。
結局、百匹なんて数じゃないほど赤ちゃんが生まれた。