ハヤト
それから1か月が経ちました。
私は女の子の友達に子供を産むことについて相談しました。
「カンナが育てるって意思がそんなに固いなら、私は反対できないな。もういない彼と血の繋がった子供でしょ?他の人の子供じゃ嫌なんでしょ?」
「うん」
「でも苦労するのはカンナ。あんただよ。一人で育て上げるって大変な事だよ」
「分かってる」
私は49日に彼の墓へ訪れました。
そしてハヤトに告げるように、墓の前で言いました。
「ハヤト、あなたはこんなに若いのに。先に逝っちゃったね。やりたい事がまだいっぱいあっただろうに、逝っちゃうんだもんね。
私の悲しさと、ハヤトのやり切れなさを想像すると、倍悲しくなるから、今はあまり何も考えないようにしている。その代わり、ハヤトができなかった事、やり残したこと、それを子供に託そうと思うの。生まれてくる子供は精一杯自由に生き、きっとハヤトにも似てくるんだろうな。
あなたに言われた通り、生まれてくる子供にはたっぷりの愛情を注ぎ、夜は子守をし、公園にも連れて行き、絵本を聴かせ、プールに連れて行き、スープを飲ませ、学校の話を目を輝かせて話す話を聴き、自然の中で星が綺麗に輝くのを発見する。
私生きてくよ。このお腹の子と共に生きていくよ。私一人じゃないよ。ハヤトともこれからも繋がってるよ。ハヤトは私の旦那なんだからね。生きていくよ。私生きていくよ。二人の愛は永遠だよね。好きだよ、ハヤト」
(完)