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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 舞い降りた天使 2.

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「裕美子、お前は幸せな結婚をして私にかわいい赤ちゃんを見せてほしいよ。そうしたら天国のおじいちゃんのところへ安心してゆける。なぜか大久保家は男親が早世している。
おじいちゃんも病気でお前のお母さんが小さい時に死んでいる。裕美子にはそうなって欲しくないけど、嫌な予感はしているんだよ。縁起でもないけどね」

「私は大丈夫よ。それは偶然の結果だと思うし、大久保家には兄も弟も居るから養子を迎える必要もないしね。私は結婚して嫁ぐだろうから、安心して、おばあちゃん」

そこまで話して裕美子はおばあちゃんに先に出て休憩室で待っているからと声をかけた。
着替えてロビーに座っていると大きな揺れを感じて、それが地震だということが分かったので、とっさにテーブルの下に身を隠した。

揺れが止まっておばあちゃんが心配になって浴槽に向かうと、人が誰も居なくなっていた。避難したのだろうと探したが見当たらない。
駐車場に停めてあった多くの車も無くなっていた。訳が分からなくなって、靴箱に入っていた自分のクロックスを履いてあたりを歩くと見知らぬ場所のように感じられた。振り返ると今まで居た温泉施設は無くなって山になっていた。

夢中で走っていると、車のライトが見えてきたので手を振って助けを求めた。
雪が降っていたことは気が付かなかった。五十六が降りてきて話しかけてくれたことで不安は少し解消されていた。何が起こったのか全く分からずに、祖母の行方すらわからず、帰る当てもなくしていたのだ。