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ぎーくおぶじえんど
ぎーくおぶじえんど
novelistID. 47644
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「響」は警察庁に、タクシー内の監視カメラが撮影した犯罪の証拠を匿名で送付した。タクシー内の監視カメラは無線接続タイプだったのだ。

そして、「響」は復讐の完遂を目前に、赤井を殺害するための最後の一手を宏の部屋のPCから打とうとした時、脱力感を感じた。

(何かおかしい。身体に力が入らない・・。まさか・・・ワクチン・・・?)

この時、コンピュータセキュリティを主な事業とするあるメーカーから、コンピュータウイルスと同様に自己増殖してネットを駆け巡りながらウイルスを駆除する、新しいタイプのワクチンが開発されていた。そしてそのデータ取りのために試験的にインターネット上にワクチンがばらまかれていたのだ。インターネット上に自分のコピーを送り出した「響」は、そのコピーがワクチンによって駆逐され、経路をトレースされて本体のPC内にもそのワクチンが入り込んだのだった。

実体がウイルスである「響」は駆除の対象とされ、身体を構成する3Dデータも、本体のウイルスデータも次々と削除されていく。

「嫌!まだ宏の敵を討ってないのに!神様、どうして!宏・・・」

「響」の身体から力が抜けていく・・・。
そして、あっという間に「響」の本体のウイルスデータが削除されていった。

だが、完全に削除される直前、「彼女」は「彼」に出会うことが出来た。
「彼」は優しく彼女に微笑みかけ、「彼女」に言った。

「もう、いいんだよ。こうやって一緒になれたんだから。もう復讐はしなくてもいいんだ。一緒に行こう・・」
「宏・・・」

「彼女」は再会に涙を流し、「彼」と一緒にこの世界から消え去っていった。

赤井の運転するタクシーは、やがてカーブの際にタイヤがパンクして壁に激突し、横転した。
そして赤井は高速警備隊によって身柄を確保され、病院に搬送された。

作品名: 作家名:ぎーくおぶじえんど