偽電車男 第一部「栄光と地獄」①
12. 決戦 -DESICIVE BATTLE-
社員旅行から帰った俺は、雨の日も、晴れの日も毎日ひたすら身体を鍛え上げ、食事メニューを変え、心の痛みに耐えてよくがんばったさ。
ウエスト細くなって、ベルト8cmくらいカットしたもんね。
そして日曜日にコンビニで買ったヘアカタログを持参し、ついに美容室で、髪型を今風のショートで立たせ、襟足は外に少しハネる髪型にしてもらった。
スタイリング用ワックスと固定化スプレーの使い方、セットの仕方も教わった。
自分でもこりゃいいやと思ったさ。
そして、どうせなら白髪染めでもしとくか、と考えて目立たないけどほんのちょこっとだけそれっぽく見えるような色に染められるか、なじみの女性美容師さんに確認して見た。
「こんな色はどうですか?」
とカラーサンプルを見せてもらう。
ああ、確かにこのサンプルの色なら・・・
うん、凄く自然だし・・・
「つか、モロバレじゃん、この色」とツッコミを入れて返すと、
「大丈夫ですよ。オシャレだし。バレませんって」
「うーん・・・・まぁ、いいや。」
そして女性美容師さんの色に染められた。
もとい、女性美容師さんお勧めの色に染められた。
うん、染めた後に、しまったって思ったね。
まぁ、やってしまったらしょうがない。
俺は苦笑いしながら店員さんにお礼を言った。
そして次の日、いきなり下足箱でマリちゃん一人と遭遇し、
「その髪どうしたの?」と興味深そうに話しかけられた。
「あ、ちょっとイメチェンですw」
そこからマリちゃんとお互いに笑顔で髪色の話をした。
ヤマさんとチームメンバーや、他の島の人たちも苦笑いしたが、何とか許してもらった。
もぅ、こんなのはやめよう。
髪型だけ変えようってね。
そしてその日、珍しく俺が早く上がれたので更衣室で着替えていたとき、忘れ物に気づいた。
普通ならコート脱いで、大部屋に戻るべきだが、その時はちょっとうっかりしてた。
コートのまま、大部屋へ。
そして、忘れ物をとって、再び更衣室へいくときにマリちゃんと再び会う。
またちょっと話をして、分かれて更衣室へいこうとしたとき、
マリちゃんが笑顔で「かっこいいw」と言ったような気がした。
だいぶパワーアップできたのか?
もぅいくべきなのか?例え負けが来るのだとしても、俺はよくやってると思う。
よし、まずはメアドの交換からお願いしよう。
今度はちょっとは勝率上げれたかな。
そして、色々あって一週間経った。
一週間後、俺は通路でマリちゃんと合い、
「これどうぞ」とボソボソと話かけて俺のメアド書いた紙を渡した。
「ありがとう」と答えて、マリちゃんもメアドくれた。
俺、赤外線とか使い方しらねーんだよ。
ブログの読者さんたちに報告した。
「ブログ読者のみんないつも相談乗ってくれてありがとう。俺、マリちゃんに気持ち伝えようと思う。メアドは交換済みだ。」
「がんばれ、偽電車、俺たちがついている。」
「がんばって」
「幸せになれるといいね。」
いつも通り負けかなぁ・・・
でも、やらなきゃ。
前に進もう。
EVAの例のDESICIVE BATTLE という曲が頭の中に流れる。
EVA初号機に搭乗し、使徒マリエルと戦うのだ。
僕をEVAに乗せてください!
そして、メールし始めた。
ものの・・・マリちゃんと何を話していいのかわからず、無難な話題。
そして、食事に誘ってみたりした。
でもやっぱり断られた。
「シンイチさんがいるから、一緒に食事とかいけません。」
あーあ、って感じだった。
まぁ、シンイチさんと他1名の方はオッケーなんだろうなぁ。
そこで、ついにメールで告白した。
本来ならユナちゃんときみたいにタイマンで対峙したかった。
その方が男やん。
「好きです。付き合ってください。俺はマリちゃんを思う気持ちで、シンイチさんに負ける気はありません。」
「ごめんなさい。シンイチさんと付き合っているので、無理です。気持ちだけもらっとくね。他にいい人探してね。」
とのこと。
EVAの曲が、「THANATOS」に変わった。
そのまま劇場版「THANATOS」に変わりかけたよ。
これは・・ 涙・・ 泣いているのは・・・ 俺!?・・・
俺も、ハァ・・・ やれやれ・・・無理だったか・・・と落ち込んだが、すぐに
「分かりました。俺、がんばっていい人見つけます。ありがとう。」
とメールして、すぐに撃沈。
次の日どんな顔すりゃいいんだよ。俺のバカ・・
と、思ったが落ち込んでいるところを見られて同情とかされたくないので、
次の日は何事もなかったかのように、振舞った。
マリちゃんとも普通に話したりしてたよ。
ブログ読者のみんなも励ましてくれた。
「あんた、よくがんばった。男だよ。」
「お疲れ様」
「新しい人に出会えたら、きっと幸せになれるよ」
二週間自宅では落ち込んでいたが、俺の心に同調するかのように雪国の冬、シーズン最初の雪が降り始めた。
車のタイヤは勿論スタッドレスに換装。
バカ高いんだよね。
雪が降り出すと、降雪量のすごさに驚いた。
前日の夜に駐車場の雪かきして、翌朝に備えたのに
翌朝にはきれいに雪の壁ができている状態。
車がスリップして進行方向と90度横を向いたり。
慣れないことだらけ。
ウォーキングもまともにできないくらい雪が・・・
今にも巨人が出てきそうなくらい雪の壁ができている
そこで、室内ワークを2倍に増やして身体を鍛え続けた。
メニューに、ちょっと前はやったHGの腰の動きやヒクソン選手のトレーニングっぽい動きも入れた。
わき腹に刺激を与えて、鍛える、鍛える、鍛える!
失恋で溜まったくやしさとかを次のまだ見ぬ新しい相手用のパワーアップに使用した。
マリちゃんも、それを望んでいるのだから。
くやしい・・・ けど、感じちゃう。負けない・・・
会社の人たちとスノーボードしたりしながらファッション雑誌を眺め、買い物に出かけたりした。
当時はア○ダーグラフの「遠き日」のマキシ流しながら愛車運転してたけど、なんか、悲しくなるねぇ。
m-fl○の「let go」(YOSHIKAのオリ版)聞いてたら何回か本当に泣けてきてやばかったなぁ。
でも、色々なことが起こるのは、まだこれからだったんだよ。
俺のパワーアップ計画が成果を出し始めるのはさ。
作品名:偽電車男 第一部「栄光と地獄」① 作家名:ぎーくおぶじえんど