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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「もう一つの戦争」 舞い降りた天使1.

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昭和十六年春、愛人と伊豆の別荘で過ごしていた日本海軍山本五十六は不思議な体験をする。

春の椿事で雪が舞う修善寺の温泉宿に車で向かっていた進行方向から手を振りながら走ってくる一人の女性を見つけた。いでたちはあまり見かけない洋装で、この時代不謹慎にも取れる格好に運転手に停止の指示をして、車を五十六は降りた。後ろに乗車していた愛人の幸恵(ゆきえ)が尋ねた。

「旦那さん、どうなされましたの?」

「不審な女が居たので尋問する。お前は中で待ってろ」

「不審な女ですって?こんなところで雪が舞っているというのに」

ドアーのノブをぐるぐる回して窓を開けて、顔を出して様子をうかがっていた。
前方に白っぽい服を着た女が確かに立っていた。
五十六は軍刀を車に置いて素手で傍に駆け寄った。

「なんだ!こんな場所で何をしておるのだ。答えないと連行するぞ」

女は相手の氏名を聞いてきた。