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ゴキブリ勇者・カズキとマリ編

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暗い病室で目を覚ますと、微かな明かりを頼りに、マリは雑誌を読んでいた。
おっさんの姿は見当たらない。
俺はぼんやりしながら、マリのことをずっと見ていた。


「なにジロジロ見てんのよ。気持ち悪い」


マリの声を聞いた瞬間、俺ははっと気がついて、汗が止まらなかった。
マリの頭を撫でてしまった。


「あ……その、ごめん!」

「なにが?」

「いや、その、俺ぼんやりしてて……マリの頭撫でただろ?」

「なんで謝るわけ?」

「いやだって、俺みたいな年下のガキにさ……」

「アンタで二人目よ」

「えっ?」

「お母さんは私の頭をよく撫でてくれた。
今日まで忘れてたけどね。
だからアンタは二人目」

「そ、そう……」


しばらく沈黙が流れて、俺は時間をもて余した。
すると、マリはふっと溜め息をついた。


「私もアンタのこと好きよ」

「へっ?」

「アンタのこと、お母さんの次に好き。キスでもしてみる?」


俺は近づいてきたマリを拒むことも出来ず、そのままキスされてしまった。
そして、マリが泣いていることに気づいた。


「なんだよ……そんな無理してキスなんて」

「違うわよ。これは嬉し泣き。
パーのアンタには分かんないでしょうけど」


無意味な罵倒は照れ隠しだと、さすがの俺にも分かった。
俺は慌ててハンカチを取り出した。


「涙が止まったら、今度は俺からキスしていいか?」

「アンタすぐそうやって調子のんのね。まぁ、いいわ」


マリはささっと涙を拭いて、わざとらしく両手を広げた。
俺はその手をそっと下ろさせて、唇を重ねた。


「ガキのくせにやるじゃん」

「マリのためだからな」


窓の外はゆっくりと明るくなって、太陽が昇り始めた。
その朝日を二人で眺めながら、俺たちは笑った。


ー続く→