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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夕美」 最終回

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「それに、私は夕美のこと娘のように考えているから、雅子さんに遠慮することなく自分の意志で決めて結婚してほしい。ここで暮らすのが嫌なら出て行ってくれてもいいし、隆一郎が私のことを大切に考えてくれている気持も嬉しいけど、あなたと二人がずっと、ずっと、幸せになってくれることが一番嬉しいことなのよ」

そこまで言うと、由美子は涙をこらえきれなくなり、顔を伏せてしまった。夕美も同じようにもらい泣きをして二人は抱き合っていた。
辛い境遇を乗り越えて女としての喜びも知らずに由美子は息子隆一郎の結婚に夢を託していた。

自分が叶えられなかったことを夕美に実現してほしいと心から願っていた。そんな思いを夕美は抱き合っている肌のぬくもりから深く心の中に染み込んでゆくのを覚えた。
由美子の幸せを叶えること、そして自分も幸せになって兄弟を引き取れるようになることが、大森家に預けられた夕美の運命だったのだ。
作品名:「夕美」 最終回 作家名:てっしゅう