更新日時:2016-05-06 02:23:27
投稿日時:2015-05-02 16:57:11
過日の夏
著者の作品紹介
ゆりに出会うまで良夫はずっと渇いていた。二十の頃からか。何かが欠落していると思った。本来、自分には無くてはならない何か。が、それが何なのか、彼自身、分からなかった。そのせいか、彼はいつも苛立ち、その怒りを周囲の人間にぶつけ、度々、衝突していた。衝突を繰り返す度に、彼は一層、孤独になった。自分の居場所が狭まっていくようなそんな息苦しさを覚えるようになった。どこか遠くへ行こう。いつしかそう心に決めていた。遠くへ行けば、何かが変わる。そして、自分も変わる。自分の持つ知性に相応しい活躍の場があり、毎日楽しくてたまらないはずだ。そんな夢を描いていた。しかし、ゆりと出会って分かった。他愛のない夢よりももっと素晴らしいものがあると。
感想コメント (1)
一輪の花のように、そばで包み込むように守り続けたくなる彼女。たとえ、離れて暮らしていても、心は永遠につながっている。永遠を信じられれば離れていても怖くも寂しくもない。そんなこころ強さを感じさせます。 | ワタリドリ | 2015-05-02 23:42:26