「夕美」 第九話
「夕美、私は仕事を始めたから晴樹の世話が疎かになると思ってしたことなの。本当なら自分が家のことをもっとしなければいけないんだけど、あなたに押し付ける形になっちゃったわ。夫も承知してくれたから、安心して暮せばいいのよ。実家は二人だけになっているけど、たまには遊びに来なさいね」
「はい、お義母様。そうさせていただきます」
「お義母様、っていうのはやめて。あなたが嫌じゃなければ、お母さんって呼んで欲しいの。私は父親のことを心からお父さん、と呼べなかった。
弟が生まれて両親の態度が変わってしまったからよ。養女の辛さを身に染みて感じられた。あなたには同じ思いをして欲しくない。今までの辛く当たったことは謝るわ。でもね、私の寂しかったことも分かってもらえると嬉しい」
夕美は俊之との交際が雅子の寂しさを埋めるためだったと気づかされた。そして義父の誠一郎と仲良くなれたことは俊之の死と関係があったと悟った。
自分には難しいことはわからないけど、義父と義母が仲良くしていることは大歓迎だし、雅子の自分への仕打ちも女として分からないでもないと、もう大人としての感情が備わりつつあった。
「はい、お義母様。そうさせていただきます」
「お義母様、っていうのはやめて。あなたが嫌じゃなければ、お母さんって呼んで欲しいの。私は父親のことを心からお父さん、と呼べなかった。
弟が生まれて両親の態度が変わってしまったからよ。養女の辛さを身に染みて感じられた。あなたには同じ思いをして欲しくない。今までの辛く当たったことは謝るわ。でもね、私の寂しかったことも分かってもらえると嬉しい」
夕美は俊之との交際が雅子の寂しさを埋めるためだったと気づかされた。そして義父の誠一郎と仲良くなれたことは俊之の死と関係があったと悟った。
自分には難しいことはわからないけど、義父と義母が仲良くしていることは大歓迎だし、雅子の自分への仕打ちも女として分からないでもないと、もう大人としての感情が備わりつつあった。