頸動脈
夜のたのしみ
君がこぐ自転車にのって
公園の中に入ると
すうっと空気がひいていく
体に感じる風はぐっと冷える
私は自転車のうしろで
両手を広げて
君は空に顔を上げる
ぽつぽつと光る星
深い闇と
ひえわたる澄んだ空気
むせかえる土の香りをいっぱい吸って
君の肩に腕をからめる
君は力いっぱいペダルを踏みこむ
ぴゃっととびでる子猫たち
いつものことのように
君はくくっとブレーキを握って
私は自転車からとびおりる
夜のたのしみ
子猫と土の香とのたわむれ
やわらかい月の丸み
自転車がえがくやさしいカーブ
私はけたけたと笑って
君と一緒に風の中に入ってく
冷やっこい夜
肌にふれる果てしない空と
心にしみわたる君のぬくもり
忘れない
いつまでも