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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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誕生日の大切さ…。

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『そういう意味かは分からないよ…。聖書にそう書いてないから本当の事は分からないけど、キリストがそう言うから伝えただけ…。もしかしたら、これも曲解になるのかもしれないね。だって、キリストがそう言った言葉は書いてないから…。だからキリストがそう言ってるけど、信じなくて良いと思うよ。私は一応聞いて、ふぅ~んってその後流すから。キリストにも、“よいよい。”って肯かれたし…。』
と私は言った。
『いやっ、お母さんはキリストが言った気持ちは本当と思うなぁ~。そんなことがあったらお母さんも人とガヤガヤ話したくないし、たぶん一人になりたいと思う…。』
とお母さんは言う。
一通り話したら上が出て来た。
『話を聞いていましたが、やはり私は、“アンティパスのことがあったので、これから誕生日をしてはいけない。”なんて書いて頂いた覚えはないのですが…。宗教の方々は、“誕生日はサタンよ!!”と言っていますが、そんなこと聖書の何処にも書いて頂いた覚えもありません。アンティパスの娘の誕生日に、何があったのかを書いて頂いただけなのですが…。もちろんその時は傷付いた方もたくさんいたでしょう。私もその中の一人ですし、キリストもその中の一人ですね。』
と言った。
それを聞いてお母さんは、
『書いてないものね~。』
と一言。
私は宗教の人たちがどうして誕生日をしたらいけないという考えになったのかが疑問だった。
すると上は、
『それが曲解なのです。“曲解”とは国語辞典でどういう意味となっていますか?』
と聞いてきた。
私はすぐにネットで調べた。
“物事や相手の言動などを素直に受け取らないで、ねじまげて解釈すること。また、その解釈。”
と書かれていた。
お母さんは肯き話を聞いている。
上が、
『そのように訳がありますね。ということは、ありもしない話に展開されて行くことが曲解になると分かりますね。もしかしたら、宗教では、“このようなことがあったから神は悲しみました。なので神の気持ちを考えて誕生日は今後しないことにしましょう。”としたのかもしれません。そういう理由があるのなら、この話の中で他にも考えられることがあると思います。アンティパスは地位や名誉を守るために首切りを命令したのなら、宗教では、“地位や名誉は捨てなければいけません。”となっても良いと思います。その他に、“結婚をしてはいけません。”や“子どもを作ってはいけません。”や“領主になってもいけません。”なども出てくるでしょう。どうしてでしょうか、誕生日をするかしないかだけが一人歩きをしていて、私は不思議で仕方がありません。』
と言った。
私は悔しいけど納得した。
『お母さんはどう思う?』
と私は聞いた。
『その通りだわ~。深いわ~。今の話、宗教の人たちだけじゃなくて、いろんな人に聞かせたい。そりゃそうだわ!!誕生日って言葉だけが一人歩きしてる。本当にそう!!その話にはもっといろんなことが出て来るのに、誕生日って言葉だけが取り上げられてる…。あらまぁ~、気付かないものねぇ~。』
とお母さんも納得している。
そして上は続けて、
『宗教の方一人一人が決めて、勝手に誕生日をしないのは構いません。しかし何も知らずに生まれて来て、その子たちから一人一人喜びを知る誕生日を奪うのはとても腹立たしく思って見ています。その子たちには何の罪もありません。しかし奪った罪は親にあります。その子たちもいずれ親になり、同じことをしてしまうのであれば、やはりそれも罪となってしまうでしょう。そして宗教の方々は私が全てを見ていると知っていることでしょう。例えば、その宗教の子どもたちが子どものまま上に来たのであれば、誕生日とは喜びが溢れる自分の日だとは知りません。私はその子たちにどのようにして誕生日は楽しんでいいのですよと教えると思いますか?“親に、してはいけないと教えられています。”と言う子どもたちに、どのようにして教えたら良いと思いますか?私がその記憶を取れば簡単な事ですが、そうではなくお母さんならどうしますか?』
とお母さんは不意を突かれ聞かれたので、慌てていた。
『えっ、えっ?!話に聞き入ってたから慌てた~。お母さん?!お母さん?!…お母さんだったら~…、どうやって誕生日は楽しんでいいと教えるか…。ん~、その子に誕生日をしてあげる…とか…。』
と答えた。
上は肯きながら、
『そうですよね。それも良い考えだと思います。私もそうすることもありますよ。』
と言うとお母さんは嬉しそうに肯いていた。
そして上が続けて、
『私がよくするやり方なんですが、人の誕生日…、特に子どもの誕生日にたくさん連れて行くということです。兎に角、楽しんでいる姿を見せます。そうやって見ていると、そこで楽しんでいる子どもたちが手を引いてその子たちを連れて行ってくれるんです。最初は戸惑いますが自然とその輪の中に入って行くものなんですね、子どもとは…。そういう時に私は思うのです。大人の出る幕ではないなぁと…。その光景を見ていると私は子どもって凄いなぁと勉強させられます。もちろん答えは一つではありません。私が何を言いたいかと言うと、無くしたものや培えるべき時に培えられなかったものを取り戻すというのはとても大変なことなんだと知って欲しいのです。命一つを育てるとはそういうことなんだと知って欲しいのです。アンティパスの話の中で人は何をなくしたのか…、そして何を得ることが出来たのかを考えて欲しいのです。』
と上は自分自身も噛み締めるようにそう話した。
『お母さん、これが本当なら宗教の人たちとんでもないことしてるよ…。お母さんも含め…。』
と私は言った。
それに対してお母さんは一言、
『お母さん、これからは誕生日する!!よし、決めた!!ちゃんと誕生日しよ~。そしてちゃんとおめでとうって言おう!!』と言った。
私は、
『なんでやねん!!またすぐ自分の考えを覆す!!』
と突っ込んだら上が、
『別に、誕生日したくないのならしなくても良いんですよ~。』
と言った。
お母さんは慌てて、
『いいえ~っ!!ちゃんとします!!』
と訳の分からない返しをした。
『お母さん、もっと自分をしっかり持って!!流され過ぎーっ!!』
と私が言うと、
『いいの!!これがお母さんだから…。』
と今度は開き直りの返しが来た。
そしてこの日以来お母さんから、“誕生日はしたらいけないの。”という言葉がなくなった。
そして誰よりもテンション高めのノリノリのお母さんが復活し、いろんな人の誕生日を盛り上げる日が再び始まったのだった。人を巻き込んでおいてこのザマに、私はイラッとする。
それをなだめるのはお母さんではなく上となる。
いつもそんな仕事を文句も言わずに楽しくなんやかんやとやっている。
それを見て私は偉いなぁと上を褒める。
私たちは今のところそんな間柄になっているようだ…。