SF小説「AKARI」 第八話
「あの日、君が倒れて病院へ行って、記憶喪失になっていると医師から聞かされたよ。ご両親もこちらへ来られてそのことはお話ししたよ。きっとトイレで倒れた後に記憶が戻ったんだよ。そうに違いない・・・」
山口にはそう説明するしか方法が思いつかなかった。加古は自分が何かの理由で一時的に記憶喪失になっていたと思わざるを得なかった。
仕事に復帰するためにも、早く自宅へ戻って体を休めたいと山口に送ってもらうことにした。
車の中で山口は、歴史資料館でのタイムトラベルのプログラムは順調に公開されて評判が良いということを話した。
今までの仕事の運びを伝えて明日から出勤したら自分の指示に従うように頼んで別れた。
山口はAKARIが未来から呼び戻されてしまったのだろうと考えていた。そして加古の記憶の中に自分と過ごした夜のことが残されていないことに安堵を覚えた。
作品名:SF小説「AKARI」 第八話 作家名:てっしゅう