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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夕美」 第七話

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「夕美、お前は立派だよ。その年で雅子なんかより大人だ。しかしな、世の中お前の考えているように女一人で兄弟全員の面倒を見るだなんて出来ないぞ。何となくだろうけどわかるだろう?」

「はい、お義父様の言われることはその通りだと思います。でも、たとえ今直ぐでなくても将来そのようにしたいと念願しています。大森家に住まわせて頂けるのなら、家賃という形で働いてお支払して自分の信念を貫きたいです」

「そうだな。そのぐらいだけ甘えるなら、先方も夕美のこときっと大切に考えてくれるよ。よく話し合ってみなさい」

「ありがとうございます。お話ししてよかったです。お義母さまにはそのうち私から折を見てお話ししたいと思いますので、内緒にしておいてください」

「わかったよ。じゃあ、帰ろうか」

「はい。」

夕美は誠一郎が自分の考えを理解してくれたことに感謝した。そして盆休みが明けた17日の日に由美子と隆一郎に自分の考えを話した。
由美子は夜間を卒業して就職するまで面倒は見ると言ってくれた。そのあとになってから兄弟のことは夕美がしたいようにすれば協力するとも返事をくれた。
隆一郎は黙って聞いていたが一言だけ夕美に伝えた。

「夕美。学校を出たらそれからのことをおれにも一緒に相談させてくれ。いいだろう?」

嬉しかった。夕美はいつも自分に好意的な隆一郎の態度をお手伝いとしての感情から離れて行くのが怖くなっていた。それは何を意味するのか経験のない自分でもうっすらと解り始めたからである。今自分が考えることは弟や妹たちとの暮らしであり、将来なのだ。
自分のことを考え出した瞬間にその強い意思に変化が現れることが怖いのだ。
作品名:「夕美」 第七話 作家名:てっしゅう