SF小説「AKARI」 第七話
「では、未来へ伝えます」
「AKARI、OKだな?では、ONするぞ」
GEORGEの言葉に続いて、未来から信号が送られてきた。やがて加古の体は意識を失い、その場に倒れた。山口はそっと手を握っていた。
「どうしたんだ!AKARIの体に意識が戻らないぞ!」
スタッフたちには心配していたことが現実となって表れていた。
「GEORGE、やはりAKARIの脳の組織が破壊されているようだ。遺伝子治療しても意識生命体が戻れるように完璧にゲノムは一致させることは出来ないんだ」
スタッフの言葉はGEORGEを失望させた。
「やはりか・・・どうすればいいんだ?」
「今一度AKARIを戻して、2015年の時代で生きてゆくようにするしかない」
「もう二度とこちらへは帰れないと言うことか?」
「仕方がない。タイムトラベルの安全性が確認されるまで、初めから研究をやり直そう」
GEORGEはあきらめるしかなかった。そのことをAKARIに伝えることが辛かった。
「AKARI、聞いてくれ。トラブルの時にお前の体とつながっていたケーブルに信号が途絶えてしまったんだ。すぐにバックアップしたが脳からの反応が消えて、体は保存出来ていたが脳が壊されていたようだ。遺伝子操作で修復したが、ゲノムの完璧な一致を見なかったので意識生命体が受け付けなくなってしまったようだ。従って、もうこちらへは戻せなくなってしまった。すまない・・・なんと言っていいかわからないが、今までのようにそちらで生命を維持してゆくしか方法が無くなった」
AKARIはその言葉が信じられなかった。元の自分に戻れないということを信じたくなかった。
「GEORGE!私の脳を完璧に修復して戻すことは出来ないの?」
作品名:SF小説「AKARI」 第七話 作家名:てっしゅう