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33粒のやまぶどう  (短編物語集)

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 こんな都市伝説本をコンビニで立ち読みしてしまった石井智也(いしともや)、はと気付けばもう真夜中だ。外は冷たい雨が降っている。明日も早い、智也はバス停へと走った。そして時刻表を見て、「しまった!」と地団駄を踏んだ。

 ふと横を見ると、黄金色の髪はしっとりと濡れ、色白な顔に切れ長の目、そんな女が赤い傘を持って、なぜか──出てしまった最終バスを待っている。

 智也は、これはひょっとして、今読んだ都市伝説の……、とあまりにもミステリアスで、思わず声を掛けてしまう。
「こんこんちき山へ行かれるのでしょ。申し訳ありません、私、タクシーでお送りしませんから」
 これに女は妖しく囁くのだった。

「あら、坊や、知ってんだね。最終バスのあとの……、恋の結末を」