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33粒のやまぶどう  (短編物語集)

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 単身赴任中の貴史(たかし)、休日にはゆっくりとブランチでもしようかとふらりとアパートを出た。行き先はすでに決めている。
 それは以前から気になっているスイーツ・カフェ[ What's new ? ]だ。

 何か新しいことある? って、新作スイーツでもあるのかな? と興味をそそる。
 貴史はその板を見上げ、ワクワクしながら自動ドアーからそそくさとショーケースの前に立った。そして店の人たちにゆるりと目をやると……、ギョッ。

「えっ、洋介に舞子(まいこ)、なんでお前たち、ここにいるんだよ!」
 カウンターの中にいる二人、貴史はそれが信じ難く、思わず声を上げてしまった。
 というのも、洋介は高校時代の悪友、そして舞子は淡い恋心抱いていたマドンナ。そんな二人は卒業後、貴史の目の前から忽然と消えた。そして今目の前にいる。20年振りの再会だ。

「びっくりだぜ、貴史。久し振りだな」
 洋介も驚きを隠せない表情。それでも余程懐かしかったのだろう、貴史の手を握ってきた。舞子も洋介のそばに来て、「貴史君、お元気そうね」と目を潤ませる。
 三人が共有した青春、貴史にはそこで彩られた様々なシーンがフラッシュバックする。