33粒のやまぶどう (短編物語集)
サラリーマンの皆様、毎日滅私奉公のお勤めご苦労様です。さて今日は、満身創痍で頑張ってるのに評価されない、そんな不満を持つ貴方への特別講習、テーマは『上司に気に入られるための三つの心得、プラスワン』です。
花井吉男(はないよしお)は最前列の席で、必死の形相をして司会者の開会挨拶に耳を傾けてる。なぜなら、上司とは反りが合わず、昇進も遅れ、もうボロボロなのだ。そこで一念発起、ライバルたちをキャッチアップするため本講習会に参加した。
もちろん吉男は認識している。
会社では部長の勢力拡大の野望が絡み合い、四つの『ミ』(うらミ/つらミ/ねたミ/そねミ)が渦巻く。出る釘は打たれるどころか、スコンと抜かれ、ワラをも掴む者は溺死させられてしまう。
裏切りと蹴落としは常態化し、まるで応仁の乱後の戦国時代。
作品名:33粒のやまぶどう (短編物語集) 作家名:鮎風 遊