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33粒のやまぶどう  (短編物語集)

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 こんな珍奇この上ない会話を思い出した太一郎、「ひょっとすると、今の俺の状態って……、数字『3』の欠落ってことかな」と、どことなく納得できてきた。
 それにしてもこれは大変なことだ。1年周期で変わって行く欠番、この宇宙の掟に従って、これからの1年間――『3』という数字が消えてなくなってしまう状況に。

「思えば、職場内での俺の立ち位置は、居心地の良い中間管理職の『3』番手。これもなくなるということか? 結果、4番手に格落ち、あ〜あ、『3』を取り戻したいよ!」
 まさにこれは非常事態だ。太一郎は神にもすがる思いでその対処法をネットで検索してみた。するとどうだろうか、この現代社会で、数字の欠落が結構深刻な問題となってるようなのだ。

 そして幸運にも、打開方法が見つかった。
 いわく、なくした数字を取り戻すためには、まずは1万円のお供えを持って、数字地蔵に参れと!
 そうすれば、地蔵は宇宙の神に掛け合ってくれて、欠落数字を、自分が指定する数字に差し替えてくれるという。