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33粒のやまぶどう  (短編物語集)

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 それにしても、これが青天の霹靂ということでしょうか?
 その対象者って――だぁ〜れ?

 驚くことなかれ、それは私を含めた恋人いない歴3年以上の6名でした。
 まず男性は、いつもの口癖があだ名になってる〈だろメン〉と〈べつニイ〉、それと私の〈いちおうアンちゃん〉です。
 そして花の女性陣は〈ヤダー嬢〉と〈どナニワ娘〉、そして〈ちょっとぉネエ〉です。

 とっくに旬が過ぎた私たち、だけど、もしこの業務命令に従ったとしたら、どんな組み合わせになるのかな? てな、てな想像を巡らせてた時です、さすが百戦錬磨の社長さん、私たちの油断を見逃しませんでした。
「とにかく、突然言われても迷うだろう。だから、これはという組み合わせを発表しましょう、とにかくだよ」とニタリと笑い、「とにかく第一組は〈べつニイ〉と〈ヤダー嬢〉、とにかくです」と。

 すると横から「ごもっともです」と専務から相槌が打たれ、ヤダー嬢からは十八番の「ヤダー!」と奇声が上がりました。そして、べつニイは「べつに」と白けてました。
 その後は、ごもっともです、ヤダー、べつに、これらの三つの言葉が入り乱れ、ホント奇々怪々な情景でした。それでもヤダー嬢とべつニイには笑顔があり、満更でもなさそうでした。

「とにかく第二組は〈だろメン〉と〈どナニワ娘〉です、とにかくだぞ」と社長からの第二弾がありました。もちろん、どナニワ娘は黙ってません。
「ど江戸出身の〈だろメン〉と……、ちゅうんかい! しゃあけど、どイケメンやし、うち、やっぱ――、どマリアージュ!」
 こんなどナニワ娘の叫びに、だろメンからダイヤモンド級の決めゼリフが、――「だろ!」と。そして、どナニワ娘のマッチ棒が10本は乗る付け睫毛に、涙がキラリと光りました。