エリザベート
其れから暫くして御主人様は一人の人間と思しき人物を屋敷へとお連れになられました。其れは銀の髪に菫色の眸をした大層素直そうな青年に御座いました。
驚いたわたくしの動揺がお判りになったのか、御主人様は可笑しげに客人だとおっしゃい、其のお世話をわたくしに一任なさいました。事実、青年は翌日の昼間には屋敷を出て行きましたので、恐らくは御主人様が気まぐれに招いただけだったので御座いましょう。
それ以降はまだ御主人様は人間をお連れになっては居りません。
嗚呼其れはとても幸いな事で御座います。
とてもとても幸いな事なので御座います。