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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「夕美」 第五話

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それでも世の中には失業者という人が居なかった。あえて働かない人はいた。パートやアルバイトも居た。何よりブラジル人やイラン人など外国からの出稼ぎ労働者達が困難な現場を支えていたのだ。

俊之と雅子はある偶然の出来事で再会をした。もちろん以前から男女の仲ではなかったのでドラマチックな展開はその時は予想していなかった。
雅子は憧れていた俊之との再びの出会いで心がときめいていた。

結婚してから10年以上の月日が経っていたが、忘れてはいなかった自分がいた。
夫との生活は決して豊かではなく、実家の暮らしぶりからすればみじめに感じる日々であった。目の前にいる俊之も絵に描いたような出世をして定年間際には頭取に就任するであろう噂を耳にしていた。

「俊之さんとこうしてお会いできるなんて、なんて偶然なんでしょうね。私のこともうお忘れになっていたでしょう?」

「雅ちゃんのこと忘れてなんかいないよ。本当だよ」

随分年下の雅子のことを雅ちゃんと昔から呼んでいた。
作品名:「夕美」 第五話 作家名:てっしゅう