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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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お母さんもついに…。

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私は宗教の勉強を止めた。
でもお母さんはまだ続けていた。
“二年も続けて来たんだから…。やっとここまで来たのに…この二年がもったいない…。”
とお母さんは続けて来た時間をいつも思い出しては、止める決意に届かない。
“毎週毎週頑張って合同の勉強にも通い続けたのに…、これが全く意味がなくなるなんて…。”
とか言ったりもする。
別に私からしたら、したきゃすればいいと思っている。
そんなことを少しでも言うもんなら、お母さんが逆ギレする。
『分かってるわよーっ!!』
と何故か八つ当たり?!される。

そんな中、お母さんが勉強を教えてくれる人をチェンジした。
最初の人は、自分の力じゃ無理だから…ということで、別の人となった。
そして、お母さんに、
『聖書の訳はあなたが訳してくれた方が分かり易いから、よく出る文章を訳して送ってくれない?!それを新しい人に見せてどう思うか聞いてみる。』
と言うので、私はパソコンで文章を作り、コピーしてお母さんに送った。
原稿用紙で言うと何枚だろうか…。
五枚くらいだと思う。

それを勉強の日にお母さんは持って行った。
お母さんは、
“今度勉強を教えてくれる人は前の人と違って、心から神様を信じてる人で人のために心からしてるのが見て取れるの。だからあなたが神と話してるって信じてくれると思うの。”
とそう信じてその人の家へと行った。
私はお母さんから聞く話からしか情報がない。
でもお母さんがそこまで良いと思うなら私は良いと思った。
それよりも、前の人はそんなに神様を信じていないみたいにお母さんの中ではなってるようだ。
私からしたら何を信じるでも信者同士同じ容量の心であって欲しいと思った。
そうじゃなきゃ人によって相談の仕方とかを変えなきゃいけなくなる気がした。

そして勉強が終わってすぐに車から電話がかかった。
私は聞いた。
『どうなった?!喜んでくれた?!』
と…。
お母さんから大きな否定する声が届いた。
『いいや~!!何が喜んでか~。その逆、その逆。顔がめちゃくちゃ恐ろしい表情になった。お母さんは涙を流すんじゃないかとまで思ってたの…実は…。でもその逆よ、逆。目がものすごく恐ろしい目になって、“それはサタンです。”って言われた。その目の方がサタンなんじゃないのかって思うほど怖かった。神様があんな恐ろしい目をするのかって疑いの思いが出た。』
とお母さんにまだ恐怖が残ってるようで、自分を落ち着かせてるようにも感じた。
『あ~、じゃあ、聖書の訳見せてないのね…。残念…。』
と私はそっちを期待していた。
『いいや~。お母さん頑張って、娘が訳したんですけど見てくれませんかって言ったら、その人隅から隅まで食い入るように読んでた。で、全部読んだの。真剣によ真剣に。』
とお母さんの言葉に私は落ち込みようから復活して嬉しかった。
『へ~、読んでくれたんだ~。スゲ~。サタンと思ってるのに読んだんだ~。で、何だって?!感想。』
と私は聞いた。
『だから~、きっちり読んでその後に、“これはサタンです。”って言ったの。』
『はっ?!きっちり読んでおいて~?!じゃあ、読むことすらしなくていいよ!!』
『でしょ~?!お母さんもそう思った。読んでる姿見てて、あっ真剣に読んでくれてるって思うでしょ?!それなのに読み終わったら、“サタンです。”よ。お母さん拍子抜けしちゃった~。』
とお母さんが言うから、
『もしかして読んでみたらサタンのような内容だったのかなぁ~。っていうことは訳については間違ってるって言ってた?!』
と私も上を信じたわけじゃないので、いろいろと考える。
『ううん、それが間違ってるって言わないの。だからって合ってますとも言わないの。』
『なんやねん!!どっちか言って欲しいわぁ~。』
『あっ、でもね、“何ヶ所か私たちとは違います。”って言われた。』
『その返しもおかしいよ!!こっちがサタンならきっぱり全て間違ってますって言わなきゃ宗教としての示しがつかないよ…。中途半端~。』
と私は腑に落ちずになった。
『それと、先週勉強した時に分からない訳があったって言ったでしょ。今の人が、“四十年ほど勉強をしてても分からないんですよね~。”って言ってた部分。それをあなたが訳してくれたじゃない?!』
とお母さんは言い出したので、
『私じゃなくて、上ね。上が訳したの…。』
と私は訂正した。
『あっ…。まっ、どっちでもいいんだけど、その訳をメモして行ったからそれをその人に見せたの。娘が訳すとこうなるみたいなんですけど…って言ったの。そしたらね、その人の目がまた恐ろしくなって…、でもちゃんとメモの訳読んだの。また真剣に…。』
とお母さんは声色を使いながらその時の状況を話してくれる。
『よくそんな状況で言えたね~。よくやった!!』
『お母さんも必死よ~。』
『で、その訳は合ってた?!間違ってた?!』
と私は聞いた。
『それがね、その人読みながら肯いてたのよ。だからお母さんがどうですかって聞いたら、“私の訳とは違います。私はこう訳さないんですよね~。”だって。あなたの事サタンって言う割にはちゃんと会話してくれるから、また拍子抜けしちゃった。』
とお母さんは言った。
『私の訳とは違いますって言ったみたいだけど、その人は四十年やってて訳が分からないんなら、私の訳とは違いますって言えないはず…。どうしてだろう…。比較出来ないはずなのに…。』
と私は疑問を伝えた。
『そう言われればそれもそうね~。でも気付いたとしてもあんな状況でそんな事言えないよ~。比較出来ないはずなので、“違います”は間違ってますよ~って…無理無理。絶対言えない。そんなこと言ったらまたあんな目で見られる…。』
とお母さんは恐ろしがるようにそう言った。
『涙を流すんじゃないかって思ってたみたいだけど、流すどころか恐ろしい目をされて…まあ良い経験だったね。』
と私は言った。
『まあ、良い経験って言われればそうかもしれないけど…、泣くもんだとばかり思ってたから、お母さんどう受け止めて良いか分からなかった…。でも怖かった~。』
『しょうがない。思い通りには行かないってことよ。今日があってまた来週だね。』
と私は言ったら、お母さんは勢いの良い反応で、
『ないないない!!それはない。だってお母さん勉強止めて来たから…。』
と唐突に言った。
『はっ?!止めた?!…今?!』
と私はお母さんの言葉を受け止められず戸惑いながらそう聞いた。
『そう。勉強が終わってお祈りをする前に、止めますって告げたの。そしたら、何か全然驚いてなくて、“そうですか。一緒に勉強をしていてとても楽しかったのに残念です。”だって。絶対そう思ってないなってお母さん思った。なんかね顔がホッとしたように見えた。それで、玄関を出る時にありがとうございましたって言って終わり。お母さんもついに止めたよ~。』
とお母さんは説明した。
『お母さん、それで良かったの?!もしかしたら宗教の方が本物かもしれないのに…。私のせいで後でなんやかんや言われても困るからね!!』