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タイタニック気付 ジャック

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12 最後の記憶



助けを求める
阿鼻叫喚は

海に落ちても
四方八方
そのままに

光も熱も
皆無の闇と
体を突き刺す
水の痛さが
加わった

ついてない

でも
ありがたい

痛みは
ほどなく
消え失せて

そのあとは
夢かうつつか
おぼろな記憶

女性の君に
しがみつく
錯乱しかけた
下司な野郎を
力いっぱい
叩きのめして

漂ってた
ドアか何かの
板切れに

君をどうにか
よじ登らせた

「愛してる」って

君が不意に
口にしたのは
あのときだった?

震えて
歯の根も
合わないくせに

あんなところで
急に言うから

かすれた息を
振り絞って

泣き出しそうに
急に言うから

お別れの
挨拶みたいで
あまりにも
悔しくて

今じゃない
まだ今じゃないって
さえぎって

そんなことより
1つだけ
僕に誓えと
約束させた

生きるって
あきらめないって
僕に誓えと

薄れる意識に
逆らって

君にあのとき
約束させた

この世で
最後に
僕が見たのは

あきらめないと
約束すると

僕を見つめた
君の瞳

この世で
最後に
聞いたのは

何度も何度も
僕の名を呼ぶ
君の声

悪いけど
僕の記憶は
そこまでだ

眠くて
眠くて

助けが来るまで
少し眠るよ

お休み
ローズ