鏡の中
子供の頃、私の家には鏡台があった。
ドレッサーとかじゃなくて、小さな抽斗がついた低い台の上に細長い鏡が付いていて、座って使う、純和風のやつ。
抽斗の中には、母親の化粧品とか櫛とかヘアブラシが入っていた。そして、細長い鏡には、布で作った幕のような覆いがいつも被せてあって、使うときにその覆いを捲り上げていた。
母親はよく言っていた。
「鏡を使わないときは、何かで覆って隠していないとだめよ。手鏡を置くときも必ず伏せて置いてね。」
私がどうしてなのか尋ねると、
「鏡の中はあちらの世界と繋がっているから。」
と答えるのだった。
ドレッサーとかじゃなくて、小さな抽斗がついた低い台の上に細長い鏡が付いていて、座って使う、純和風のやつ。
抽斗の中には、母親の化粧品とか櫛とかヘアブラシが入っていた。そして、細長い鏡には、布で作った幕のような覆いがいつも被せてあって、使うときにその覆いを捲り上げていた。
母親はよく言っていた。
「鏡を使わないときは、何かで覆って隠していないとだめよ。手鏡を置くときも必ず伏せて置いてね。」
私がどうしてなのか尋ねると、
「鏡の中はあちらの世界と繋がっているから。」
と答えるのだった。
作品名:鏡の中 作家名:sirius2014