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走れ! 第五部

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 エサも尽きたので、次の展示コーナーに向かう。次は数々のコマを展示してあるコーナーだった。津軽独特の「ずぐり」というコマを初めとして、変わったコマがいろいろと展示されていた。涼子さんはその一つ一つをとても興味深そうに眺めていた。そのコマの展示コーナーを見終わると、これでねぷた村の展示は全ておしまい。後は土産物売り場を眺め、ねぷた村を出た。そこの近くにバス停があり、タイミングよく、もうすぐでバスが来るようだった。
 そのバス停からバスに乗って弘前駅へ戻った。市街地を通って駅に着いた頃にはもう正午を回っていたので、駅の中にあるそば屋で津軽そばを二人で食べた。津軽そばっていうのは津軽地方の郷土料理の一つで、つなぎに大豆をすりつぶした呉汁を使ってるのが特徴で、これはそばからタンパク質を摂取するためらしいんだ。作るのに手間がかかるというので、戦後に一度に消滅したらしい。以前、青森に来た時にもその津軽そばを食べたけれど、天ぷらそばがうまかったという記憶があるので、二人で天ぷらそばを注文した。そばなんてそんなに物珍しいものでもないんだけれど、これが津軽地方の郷土料理だと考えて食べると、なかなかうまいものだったよ。
 昼飯を終えて店を出たところで、ちょうど目の前に土産物売り場があった。
「お、ちょっと見て行こうよ!」
 と、涼子さんが土産物売り場に歩み寄って行き、並べられている土産物を眺め始めた。ついでだから、おれもその土産物売り場を眺めてみた。そこには、リンゴが名物という場所柄、やはりリンゴを使ったお菓子がたくさんあったし、南部せんべいの類似品である津軽せんべいなどもあった。後はキーホルダーなんかも、リンゴをかたどったものが多かったな。何となくだけれど、土産物売り場って楽しいもんだよな。自分のものを買うわけでもないのに、何だかワクワクするもんだよ。別にここで何かを買うわけではないけれど、そんな気持ちで見て回っていると、涼子さんが何かを買ったようで、ビニールの手提げ袋を手に持っていた。
「おいしそうだったから買っちゃったよ」
 と、照れ笑いのような表情で袋から取り出したのは、なかなか関東ではお目にかかることのできない「アップルスナック」というお菓子だった。リンゴを油の熱で乾燥させたもので、これがなかなかうまい。もうすぐで列車の時間。もう土産を買う暇もないので、おれも今のうちに買っておけばよかったと少し後悔したが、
「後から電車の中で食べよう!」
 と涼子さんが言ったので、やっぱり買わなくても大丈夫だったなと、心の中で安心したよ。
作品名:走れ! 第五部 作家名:ゴメス