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私の読む「源氏物語」ー64-紅梅

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 そのようなことから異母弟である大夫君を可愛がり絶えず、大夫を通じてこっそりと文を宮君に贈るのであるが、中君にと按察大納言は、匂宮のことを深く決めているので、匂宮が決心して中君を妻にと申し出があれば承諾することにと、匂宮の機嫌を取り大納言が匂宮を待ちもうけているのが気の毒で、
「夫の思う事と違って、匂宮に思いを寄せそうもない宮君に、匂宮が、言っても甲斐のないようなことを仰せなされる事は、無駄なこと」
 と真木柱は思って言うのである。宮君の変事もないのに負けられないと、宮君を諦めずに思いを寄せている匂宮。匂宮が熱心であるから、真木柱は拒否しようか、しまいか、匂宮を宮君の婿としてまあ、通わせたくもあり、将来も有望にであると見えなされるから、と思うことも時々はあるが、匂宮は女好きで、通うところが何カ所かある様子、桐壷帝の第八皇子で源氏の異母弟である八宮の姫で中君のところへも、気があるのか遠く宇治まで通っている、頼りに出来ない浮気っぽさなどにつけても、宮君は一層気乗りはしないから、匂宮を真実に諦めて返事もしない、けれども匂宮の気持が有り難く、宮君には内緒で真木柱は匂宮に時々返事を娘のためにと送っていた。(紅梅終わり)