私の読む「源氏物語」ー36ー蛍
と、いつも言っている。だが彼内大臣も一頃などは、それ程でもなく、娘である撫子と言った玉鬘の事を忘れているのであったが、源氏が、色々と身分に従って、娘を大切に世話しているのを目にすると、内大臣は、白分の娘達が、自分の思通りにならない事が、弘徽殿女御や雲井雁などの状態を考えて言うのである。とても情けなく、残念に思うのであった。
ある夜内大臣は夢を見た、その夢がとても気になるので有名な夢占いをする者を呼び、見た夢を話して夢解きをさせた、夢占いが申すには、
「もしや、貴方様は長年行方が分からずに探しておられるお子様を、今は他人の子となって育てられている、ということをお聞きになったことは御座いませんか」
と自分の夢解きを申し上げたので、
「私の娘で、他人の子となる事は、先ずあり得ないこと。お前の言う夢解きは一体どんな事であろうか。合点が行かない。」
内大臣は真剣になって考えていた。
(蛍終わり)
作品名:私の読む「源氏物語」ー36ー蛍 作家名:陽高慈雨