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私の読む「源氏物語」ー25-関屋

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 と病床の常陸守は心配するのであるが、こればかりはどうしようもなく、やがて亡くなってしまった。

 常陸守が亡くなって暫くの間は「父上のご遺言にも」と子供達は空蝉を慰め大事にしてくれたのであるが、それは表だったことで空蝉の心は苦しかった。それもこれも世の道理というものでこの身一つが辛いことであるから、と涙にくれて暮らしていた。ただ子供の河内守だけは元々空蝉が好きであったので、他の子供達よりも何かと空蝉の世話をしていた。
「父上が亡くなる際にあのように貴女のことを頼んでおられたのですから、満足はいきますまいがどうぞ何でも私を頼りにしてください」
 と男の心丸出しで言い寄るのを空蝉は、
「男達に数々言い寄られてやっと夫として常陸守をと定めたにもかかわらず先立たれ、今また子供から言い寄ってくるとは、とても我慢が出来ない」
 こっそりと仏門に帰依して尼となってしまった。
 仕えていた女房達も言葉なく嘆き悲しんでいた。
 河内守もこのことを聞いて、
「私をお嫌いになって仏門に入られたとは。まだ先が長いお歳であるのに、この先どうお過ごしになるのであろう」
 とつい漏らしてしまうが、つまらぬおせっかいだ、などと人は申しているようです。