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私の読む「源氏物語」 ー8-

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 その後、二人の甘い結婚生活が始まるのであるが、元々源氏の中に女好みの性格が潜在していたのか、それとも葵の兄である頭の中将という男の遊びに堪能な先輩が導いたのか、一年もする内に源氏は葵の身体では満足できなくなった。頭の中将や内裏の好き者達の指導で女遊びを憶えて葵の許に返ることが少なくなっていった。
 葵は左大臣の娘で気位の高い人であるから、遊びだした源氏を許すことが出来なくなった。源氏に会う毎に不満ごとを終わることなく話し続けた。そうして二人は疎遠になっていった。

 北山の尼君が歌に「若草」と呼んでいたあの少女が、これから大人に成長していくことが源氏は気になってしょうがない、
「尼君がまだ相応しい歳ではないと言われるのはもっとものことである、私の妻にと申し出るのはやりどうかなあ、何か方法を考えて、手許に引き取り、明け暮れに眺めて一緒に暮らしたいものだ。父の兵部卿宮は、とても上品で優美な方だったが、それは性格で、姿は
女が気を引くようなつややかな美しさはなかった。その娘がどうして源氏の恋するあの子の叔母、藤壺の宮にそっくりなように見えたのだろう、兵部卿の宮と藤壷の宮とは同じ先帝のお后からお生まれになったからであろうか」
 などと源氏は考える、それだけでもあの子と自分の恋人との縁故の深さがうれしくて、ぜひとも自分の希望は実現させねばと源氏は決心したのであった。