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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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たかが一匹…されど一匹…。

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ひよちゃん(仮名;お母さんの妹)の家には柴犬のハク(本名;犬)がいる。
お母さんがひよちゃんの家に行った帰りにそのハクの話になった。

『ハクにまた吠えられた。』
とお母さんは嬉しくなさそうに言った。
『私、ハク見たことないから…、あっ、ひよちゃんの携帯の写真で一回見たことあるか…。普通に柴犬だった。カメラ目線じゃなかったけど…。前にも聞いたけど、ハクって吠えるんだ。問題犬だね。私はそう育てないから、吠えるように育てられた方がかわいそう…。』
と私は言った。
『かわいそうか…。それよりもハクって全く目を合わせないのよ。ハク~って呼んでも反応しないし、吠えては来るけど…。その目が恐ろしくて気持ち悪いっていうか…不気味なのよねぇ~。お母さんハクを触ったことないの…。汚いのもあるけど…。』
『触ったことないの?!じゃあ、今までハクって呼んでただけ?!』
『そうそう、呼ぶだけ。でも形だけね。絶対に吠えるから…。いつか飛び付いて来るんじゃないかってヒヤヒヤよ~。お母さんが車を駐車場に入れてる時にはもう吠えてる。だから急いで家の中に入るの。』
とお母さんはその時の状況を走ってる気持ちで話していたようだ。
『そんな風にひよちゃんちに入ってるの?!急いで家に入らないといけないないんて…ウケる!!』
と私はその光景を想像するとおかしくなった。
『面白いかなぁ?まあ笑ってるもらえるならどうぞ。』
とお母さんは言った。
そんなことを話していたら、また何かが見えてきた。
『お母さん、ハクって目が冷たいっていうか冷めてるっていうか無表情のような目をしてる?!』
と私は聞いた。
『そうそう。…もしかしてまた見えてるの?』
とお母さんはもう慣れたのかそう聞いてきた。
『うん、見えてる。気持ち悪いっていう意味がよく分かる。…確かに不気味だね。なんていうか、いつも怒ってるっていうか何か言い分があるんだろうね。』
と私はそう思った。
お母さんが何を思ったのか、
『ねえ、あなたハクに話しかけられない?!』
と言ってきた。
たまげた私は、
『はあ~!!生きてる犬に~っ?!それは無理だよ~。さすがにそれは…範囲外だと思うよ~。そういう事は止めた方がいいんじゃない?!』
と私は言った。
何故だろうか…、お母さんの空気が変わったのを受話器越しに感じた。
そしてそれは的中となり、
『やってもないことを出来ないって言わないって前から言ってるでしょ!!一度やってみてからその言葉を言いなさいっ!!分かった?!』
とまくし立てるようにお母さんは言った。
『えーーーっ!!それって怒りながら言うところ?!怒るところじゃなくない?!お母さん、怒る所間違ってるよ。』
と私も言い返す。
お母さんは変わらず同じ勢いで、
『いいえ~っ、間違ってない!!今は怒るところなの!!分かった?!だからハクに話しかけなさいよ。やってみてから、それからお母さん話を聞くから。どうなったのか…。分かった?!』
としつこく何度も“分かった?!”を強調された。
こうなってはやらざるを得ない…。
電話をしていると集中は出来ないので、その時はしなかった。
そして私はすぐに忘れてしまう。

電話を切った後、…そのことについては…忘れていた…。
案の定だった…。

なので大体そんな私に、誰かしら見えない何かがヒントを与えてくる。
また何かチラチラと見えた。
…誰だろう…犬…、あっ、ハクだっ!!忘れてた…となって思い出した。
なので私はお母さんが言うので、渋々始めた。
薄っすら見えるハクに集中した。
だんだんと顔がはっきりとなってきた。
こっちのことが見えているかは分からないけど、目を逸らしているように感じる。
私は意を決し、心の声で声をかけた。
“ハク、ハク…、ハクですか?!”
と私は聞いた。
ハクの表情を見ていると驚いているのが分かった。
“あっ、大丈夫よ~。あいちゃ~ん(仮名;私)よ。ことちゃ~んの娘のあいちゃ~んよ~。”
と言った。
私はこんな風に動物に話しかけるので、いつもの口調で話した。
するとハクの目付きが鋭く変わって、ウ゛ーーーっと唸りだした。
ちょ~こえ~!!と私は一旦怯(ひる)んでしまった。
だから言うことを聞かない動物はイヤなんだよ~と私の心は嘆いた。
でも怯んだままでは終われないので、自分の心を奮い立たせてハクに立ち向かった。
“そうやって文句ばっかり言ってどうするの?!ウ゛ーじゃないの。ウ゛ーはダメ!!言いたいことあるなら、あいちゃんじゃなくてひよちゃんたちに言うのが本当なの!!ことちゃんに吠えても仕方ないの!!ウ゛ーじゃなくて、お目目を見るの。お目目見てお話するの。”
と私は伝えた。
それでもハクの唸りと表情は変わらない。
私は一旦言うのを止めてハクの気持ちを考えてみた。
するとだんだんとハクの気持ちに入って行くのが分かった。
どうやら、家族の空気が悪いのと誰も自分を相手にしてくれないのと洗ってもらえないのが嫌なようだ。
“あ~、分かった、分かった~。そういうことかぁ~。今まで我慢してきたんだね。…ハクはお利口さ~んよ~。ハクはお利口さ~ん。”
と伝えるとこっちを見ている目に気付いた。
“あらまぁ~、あいちゃんのお目目~見たよ~。またハクお利口さ~んよ~。出来るじゃない~。そうよ、そう。お目目見たらお利口さ~んよ。お目目見てお話し~よ。”
と伝えた。
眉間の部分に力が入っていて怖い表情になっていたけど、それがなくなりかわいい目が出て来た。
“かわいいお目目~よ。ちゃんと普通の柴犬らしくなった!!うんうん。お利口さん。”
と伝えると、なんだろうか…邪魔な気配を感じて来た…。
そっちに集中してみるとリップ(本名;犬)だった。
私のお利口さんという言葉に反応してか、聞こえてか…出て来た。
自分はお利口さんですと言いたい表情をしている。
しっかりお座りをしてまっすぐ私の方を見ている。
リップが出て来て嬉しいけど、今はハクと話しているのでリップに、
“邪魔っ!!今はハクと話してます。リップがお利口さんなのは分かった。はい、お利口さん!!なので邪魔をしないでください。”
と私は伝えたけど、リップはその表情や態度を頑なに崩さないでいる。
どうしたもんかと一悶着していると上が出て来て、
『リップちゃんはお利口さんにしていますよ。』
と言ってきた。
『今、ハクと話しているのでリップをどけてください。』
と私は言った。
『リップちゃんにも意志があるようですね。あいちゃんがハクに話しかけているその言葉が、リップちゃんにも聞こえたので、自分が怒られていると勘違いしたようですね。』
と言われた。
そういうことかと分かった。
私はそのままなるべくリップを見ないようにハクとの会話を再開した。
ハクが何のことやらかと困っているので、一応リップについてハクにも伝えないとと私は思った。
“リップ~が出て来た。リップ~はあいちゃんの犬で、死んで上にいるの。死んだけど、もう死んでないの。神様~よ。神様、分かる?”
とハクに言うと、ハクが反応したように感じた。
どうやら神様を知っているらしい…。
お母さんが言っていたように人間以外は神様を知っているのかも…。
そしてハクに、