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天国からの脱出

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――パーティを組むのではないだろうか―― そう思うと、すぐ人が集まる所を思い浮かべた。酒場で仲間を探すのは、高校生になったばかりのオレには無理だ。お金もかかるだろう。さて、どこに行けばいいのだろうか。コンビニに行って週刊誌の立ち読みしている若い女性に声をかける。
「すみません、オレと一緒に冒険に出ませんか」
女は無視して一生懸命に週刊誌を立ち読みしている。

「パーティを組みませんか」
女は、気持ち悪そうにオレを見て、そのまま弁当のコーナーの方へ行ってしまった。今度はマンガを立ち読みしているマッチョな男に声をかけた。

「お兄さん、オレと一緒に冒険に出ない?」
男は振り向くと、一瞬目が点になって、点がだんだん大きくなり、黒目大きく見開いて、
「あら、うれしいわ」と言って腰をくねくねさせた。

今度はオレの方が目が点になり、口をポカンと開けた。男がオレの手を取り、ピタッと側についてきた。オレは生理的嫌悪をもたらし、その手をふりほどき、慌ててコンビニを出た。

「ねえ、どうしたのよ、冒険は」
後ろから太くて高い声が追いかけてくる。オレは走ってスーパーに逃げ込んだ。ゼイゼイ肩で息をしながら、後ろを振り返った。幸いマッチョな男は追いかけてこなかった。

携帯ショップでは、「すみません」と話しかけただけで睨まれてしまって、パーティ作成は暗礁にぶつかり、大破した。

――ドラゴン市ではやることが無くなった―― そう冷静に判断したオレは、シャドー町に移動することにした。ここへ来る時には公園を経由してきたが、帰りのルートは少し遠回りになる病院と小学校経由することに決めた。このルートには何か進展があるかもしれないという期待が大きかった。

病院の駐車場についたオレは手前の車からドアを点検し始めた。もし開いても運転することは出来ないが、もう習性のようになっているドアの前に立って開くかどうかを確認する作業をしばらく続けた時、後ろから「ちょっと」という声でオレは振り向いた。

「何をしてる」
駐車場の管理人であろうと推測されるオレの父親よりも年上の男が、警察官のようにオレを問いつめた。

「アイテムさがしです」
オレは悪びれず答えた。

「あいてむ?」
予想外の答えに管理人は頭の上に?マークを放射状に5つほど広げた。

「それから、ヒントをくれる人を探しています」
もしかしたらこの男がゲーム進行の鍵を握っているのかも知れない。そう期待感をこめて言う。

「何のヒントだ」
頭の上の?が電球が点いたマークになった管理人は、オレの顔を見据えながら携帯を取り出してどこかに電話を始めた。
「ハイ。あのー患者が……駐車場です。ええ、別に、ハイ、そうゆうことは無いです」

管理人が電話している内容はオレにも解った。勘違いされているんだ。オレは病院の看板を見た。何と精神科の病院だった。日頃から病気もしないので気にしていなかったが、ここは精神科の病院だった。

事態は急を要する。オレは冷静にそう判断した。
「あ、ちょっと、待ちなさい」
走り出したオレを見て管理人の声が後ろから追いかけてきた。待ちなさいと言われても
待ってはいられない。病院へ連れて行かれてバッドエンドでゲームオーバーだ。

作品名:天国からの脱出 作家名:伊達梁川