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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「夕美」 第二話

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「本当にそうね。とても良い子が来てくれたと感謝だわ。お父さんも家で食べられるといいのにね・・・」

「そうだよ。父さんはなぜいつも外食して遅くにしか帰ってこないんだ?」

「隆一郎、お父さんは銀行の重役さんよ。お付き合いもあるし、毎日忙しくされているのよ」

「母さんや、俺のことなんかどうでもいいって感じだよね、昔から・・・」

「そんなこと言うもんじゃありませんよ!お父さんのおかげでこうして暮らせているんですから」

「母さんは、そればっかりだな。お父さんのおかげって・・・なんだよそれ?そんな体になってまで父親をかばうのか?」

「言い過ぎですよ!お父さんのせいでこうなったんじゃないんですよ。間違えないで。もともと体が弱かったのにお父さんが許して下さったから結婚できたの。むしろ感謝してるのよ」

「もういいよ。いつも父さんのこと庇って・・・聞き飽きたよ。自分のしたいことしないで何が幸せなんだかわかりゃしないよ。
俺は父さんみたいな銀行員にはなりたくないから、覚えておいてくれよ」

「お父さんはきっとがっかりなさいますよ。あなたが優秀な銀行マンになれることを夢見てらっしゃると信じていますからね」

「ふん、自分の家庭を壊すようなことする結婚なんて絶対にしないから。俺はたとえ貧しくても会話のあるみんながワイワイ出来る家庭を作りたいって思う。夕美だってそう考えているだろう?違うかい?」

急に話を振られてちょっと困った顔になったが、うつむき加減に返事を返した。

「はい、隆一郎さんの言われる気持ちはわかります」
作品名:「夕美」 第二話 作家名:てっしゅう