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石原 未都子
石原 未都子
novelistID. 54893
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あなたはこんな私、知らなくていいの

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素直、ねぇ。
私はどんなに頑張ったってそんな柄じゃない。
それはあの可愛らしい恒に恋する子の担当。
胸の前で手を組んでそれからなにを言うの?
私は祈り方も懇願の仕方も知らない。
つくづく可愛くない、いやらしい女だ。
「恒は確かに軽薄でどうしようもなかったけど最近は違う。あなたに会ってから真っ直ぐになったわ。あなたしか見てないのよ。真梨。」
それと似たような言葉を恒からも聞いた気がする。
男を変えることが出来たならそれは最高の女だ。
まるで殺し文句だ。
三千世界の鳥を殺すよう。
それでも私は目を逸らし口を固く閉じた。
もとから私には口なんてパーツはなかったかのように。
「真梨、あなたは恒のこと好きじゃないの?」
由香里は不思議そうに言った。
「好きよ。」
キスだってしても構わなかった。
じゃあ他になにを望むの?という由香里の気持ちも分かる。
「好きだけど?」
「じゃあ素直に付き合えばいいのに。」
また出た。
素直。
俗にいうなんとかデビューっていうのには最適なのだろう。
「なれたらいいのにね。」
素直に。
好きな人に好きだと言う。
由香里には簡単なことなのだ。
なんの犠牲も払わないことだから。
「また、他人事みたいに!素直ってそんなに難しいことではないのよ?」
そうね。
でもどんなに素直になるのが簡単でも本当は恒より由香里、あなたの彼の方が好きなのよ。なんて言えないだろうし。