香辛料と豆乳を
病気のこと
私は、世間でいうところのメンヘラである。病名は「双極性障害ii型」。世間でよく知られる、躁うつ病っていうやつだ。
なぜ、発病したかは定かではない。しかし、思春期の頃から保健室登校を繰り返していたので、恐らくその頃には罹っていたのだと思う。
この病気は、世界を蜷川実花の写真の様に、色鮮やかに見せる事がある。反対に、自分を含めて、世界をモノクロに見せることもある。
色鮮やかに見えるときは「もう一人の私」が、ミュージカル映画を見ている感覚になる。主演が私で、それ以外はみんなモブだ。
モノクロに世界が見えるときは、忙しない足音と声しか聞こえない。まるで、世界から置いてけぼりにされてしまったような、虚しさを感じることがある。
色鮮やかな世界は美しく感じる。しかしながら、その美しさは病気によって得ることが出来る、虚偽の世界だ。
このように、虚偽であるにもかかわらず、美しく鮮やかな世界を渇望することが、辛いと感じるのかもしれない。
私は、目に見えるこの光景を明度も照度も適切に感じことが出来る感性をもって、生きていきたい。そんなことを、執筆しながら思った。
作品名:香辛料と豆乳を 作家名:キャシー・サチエ―ル