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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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犬の名前はリップ。~しっぽ付きのコーギー。~

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犬を飼いたいと思い、彼氏からの承諾も受けて、いざ引っ越し費用を貯めて、ペット可のマンションへと引っ越した。
そして、その内出会うであろう犬を探すこととなった。

散歩をしているある犬に一目惚れをしてその犬がコーギーであると知った。
犬の本を買って読んで、ネットで調べてとコーギーについていろいろと知って行った。
コーギーはしっぽがないのではなくて、生まれてすぐに切られているということを知った。
理由が、牛追いをしていたようで、その時にしっぽを牛に踏まれてしまうから邪魔ということらしい。
私は牛追いなんてさせるつもりはないので、しっぽは付いていてもいいと思った。
それに切るなんてかわいそうだと当たり前のようにも思った。
コーギー全てを飼えるわけじゃないけど、せめて自分たちが飼う奴だけでも痛い思いを経験せずに生きても良いと思った。
そして私はしっぽ付きのコーギーが欲しくなり、それを探し始めた。

ペットショップを五件以上回って、お店の人にしっぽ付きのコーギーを探していると言っても基本的に取り扱っていないということが分かった。
ということで振り出しになってしまった。
どうしたら良いか彼氏と考える毎日を送るのだった。
ネットで調べて、しっぽ付きのコーギーを飼っている人もいるし、ブリーダーというものがあるとも知った。
なかなかネットではコーギーと出会うまでには行き着かない。
コーギーのブリーダーはいるけども、メールで連絡を取ってみても返事がないとか、値段が高すぎるとか…。
命に値段を気にするなっ!!という意見もあると思うけれども、私たちの懐事情というものはやっぱり付いてくるもので…。
こんな思いがあるのなら犬を飼う資格がないのかも…と考える事だってあった。
でも犬を飼いたい気持ちは変わらなかった。
私は酷い人間かもしれないが、自分たちの出せる金額以内で犬を探した。

そして、灯台下暗しだったようで…、近所にブリーダーのペットショップがあった。
そこに行くことにした。

お店へと行った。
夫婦で営んでいるペットショップのようだった。
お店に入ると私が、
『しっぽ付きのコーギーを探しているんですけど…。』
と言うと、奥さんが嫌そうな顔をして、
『しっぽ付きのコーギーはねぇ~、いないですね…。』
と言った。
その一言でダメだと思った。
でもそこで諦めずに、何故か私たちの思いを伝えようと体が出口ではなく奥さんに向いた。
『何ヶ月もいろんなペットショップを回ってきたんですけど、しっぽ付きのコーギーがいなくて…。ネットで調べてここのお店を知ったんです。どうしたらしっぽ付きのコーギーを飼えますか?』
と言ったら、奥さんの顔が嫌そうな表情から眉間のシワの寄りがなくなり、
『何件も回ったんですか?!』
と言ってきた。
私たちが肯くと、奥さんは旦那さんを呼んできて、私たちの事情を説明してくれた。
そして、自分たちの店と繋がってるコーギーのブリーダーに頼めばしっぽ付きのコーギーが手に入るということとなった。
しかしそれはいつ生まれるかは分からないとのことだった。
私たちはそれでも良いので待つことにして、しっぽ付きのコーギーでメスをお願いした。
犬の値段も大体でその時に言われた。
私たちの出せる範囲だった。

そしてコーギー探しが終わると今度はいつ生まれるかなぁ~とワクワクしていた。
2~3ヶ月経っても連絡がなく、気持ちは先走るので、ネットで小屋をみたりペットショップに行っては何が必要かを見たりして、待ち遠しさを持て余していた。
そして半年が過ぎても連絡はなく…、忘れられているんじゃないかと私の頭を過った。
彼氏はそんな私の思いを否定したけど、結局ペットショップに電話して聞いてもらった。

『ブリーダーさんにコーギーの赤ちゃんが出来たらその内のメス一匹はしっぽを切らないで欲しいと頼んでるんですけど、母犬が妊娠しなくて子どもが出来ないんです。なのでもう一件ブリーダーさんをしているところにも頼んでみているんですけど、なかなか連絡がなくて…。』
ということだった。
それなら仕方がないのかも…。
私の思いは外れて、忘れられてはいなかった。
彼氏には、
『ほら~。言った通りだった~。』
と言われた。
ホッとした私は、早く犬に会いたくて仕方がなかった。

そしてペットショップから連絡が入ったのが、注文をして一年近く経ってからだった。
(命ある動物に対して注文という言い方が気に入らない方もいると思いますがご了承を…。)
どっちの母犬もなかなか妊娠しなかったということだった。
そして犬を見に来てくださいということで、犬を見に行った。

店に行くと奥さんが赤ちゃんコーギーを連れてきた。
しっぽは付いていた。
耳が垂れて、私の思い通りの顔じゃないコーギーが現れた。
彼氏は私のその表情を見ていたのだろう。
その彼氏に私は落胆の気持ちを表した。
奥さんに、
『抱っこしてみてください。』
と言われて、私は犬を両手で挟むように持った。
持ち方が悪かったせいで、犬がキャンキャンギャンギャン鳴き始めた。
奥さんが慌てて苦笑いで私から犬をそっと取った。
そして奥さんが、
『こんな感じのコーギーですが、どうしますか?!耳は垂れてますが、だんだんと立ってくるので心配ないですよ。この子が嫌ならまた次に生まれるまで待つことも出来ますよ。』
と言う。
耳が垂れていたことに気付かれたのか…と思った。
それよりも私はその犬は嫌だと思ったけど彼氏が、
『いいえ、この犬でいいです。長いこといろいろとすみませんでした。いつ取りに来たら良いでしょうか?』
と言った。
店側が渡すようの準備もあるからと次の日になった。

店を出て、家に帰りながら彼氏が、
『あの犬嫌だったんでしょ?!』
と言ってきた。
私は無言で肯いた。
彼氏は笑いながら、
『そうだと思ったけど、また他の犬にしてくださいって言える雰囲気じゃなかったよ。それにしっぽ付き頼んでおいて、いりませんって言ったところであの犬の責任は誰が取るの?!こっちが頼んだんだからそこまで、“あれがいいこれがいい。あれは嫌~、これは嫌~。”は通用しないからね。』
と言った。
私は全く笑えず一言、
『可愛くない…。』
と言った。
そんな私に彼氏は、
『さっ、やっと欲しがってたしっぽ付きのコーギーが来るよ~。明日取りに来て、家に連れて帰ったら、頑張ってお世話しないとね。何を言っても始まらない。最期まで飼うことって約束したんだから、それが明日から始まるんだから、もう文句は言えないよ。』
と言われたけど、私はずっと無言で首を横に振っていた。

そして次の日、私は笑顔のないままペットショップへと行った。
彼氏が全ての手続きをしてお金を払って、いろいろ犬のものまで貰って家へと帰った。
犬の値段は言われていた金額より五~六万円も高くなっていた。
なのに彼氏はそこについては店の人に言わずに、ちゃんと払った。
店側としては、最初に頼んでおいた母犬が妊娠しなかったので、遠いところに頼んだとのことだった。
これはぼったくりなのかは分からないけど、私はずっと彼氏にぼったくりと言い続けた。
そして家に着いても私は一切笑わなかった。