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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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犬を飼うきっかけ。~犬と向き合いたい…。~

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私はどうしても犬を飼いたいと思っていた。
兎に角動物が好きで、犬が一番好きだから犬を飼いたいと思っていた。
そんなことを彼氏にずっと言っていた。
しかし彼氏は、
『生き物を飼うのは大変だよ。最期まで面倒を見ないといけないんだから、そこまで出来る?!途中で投げ出すのもダメ。病気して苦しんでる姿から逃げ出すこともダメ。やっぱり俺にしてって言うのもダメ。毎日毎日良いことだけじゃないんだからね。もう一度考えてみて。』
と言われては考え…、散歩してる犬を見ると欲しくなって、また今の会話になり、現実を突き付けられてやっぱり自分には無理かもと思っては諦めて…、を繰り返すこと一~二年。

私は今までの親やら親戚が動物に対してしてきた態度を思い出した。

叔母は犬を飼っては躾けられずに、噛み付く犬に育ててしまったり、誰も触れないような凶暴な犬にしたり、家から道路に飛び出して車に敷かれて二匹死んでいる。

パパ(私はこう呼ぶのだ)はドンちゃん(チャウチャウ)をお母さんに相談なしに買ってきて、飼育することなくお母さんが私も兄も育てる中、ドンちゃんもプラス育てることとなった。
そんなドンちゃんも親の離婚を機に、パパが引き取り散歩にも連れて行ってもらえず、毎日家の前の神社の丸太に紐を掛けられ自由がなくなった。
そしてドンちゃんを見れないということで、叔母にあげることになった。
しかしそれも長続きせず、動物をたくさん飼っている人へと譲った。
私はそれを知らされたのが、小学校二年生か三年生の時で、自転車で行ける範囲だったので、しばらく毎日ドンちゃんに会いに行っていた。
そこの家の人に、
『ドンちゃんは噛み付くから触ったらダメよ。』
と言われていたので、少し離れて、
『ドンちゃん。ドンちゃん。』
と声をかけていた。
皮膚の病気らしく、毛がかなり抜け落ちていて、チャウチャウはライオンのようなのに、貧素になっていた。
噛み付くと言っていたのに、ドンちゃんは私が声をかけると、ずっと目を見つめ動く範囲でゆっくりしっぽを振っていた。
それでも触ったらいけないと言われていたので、
『ドンちゃんを触りたいけど、触ったらダメだって…。』
とドンちゃんに言っていた。

そんなドンちゃんを見つめていて、私を見ているようで違う気がした。
『もしかしてドンちゃんはパパに会いたいの?』
と聞いた。
ドンちゃんは私じゃなくパパに会いたいようだと感じた。
それが分かってからパパにそのことを伝えた。
でもパパは、
『いや~、パパは行かない。ドンちゃんがパパを見たらドンちゃんが可愛そうになるから。』
と言うだけで、全く一緒に行ってはくれない。
何度も何度もドンちゃんの思いを伝えたけど、結局パパは耳を傾けてくれなかった。
そんなパパの気持ちをドンちゃんにも伝えていた。
『パパ、ドンちゃんに会いに来ないって。ドンちゃんの気持ちは言ってるんだよ。でも行かないって…。…でもそんなパパって嫌だ…。』
と伝えていた。
今思うと私もそんなことをドンちゃんに伝えていたなんて酷いのかも…と思った。

そして、しばらくドンちゃんに会いに行かなくなって、ある日学校から帰るとパパが、
『あいちゃん(仮名)、さっき電話がかかってドンちゃん死んだって。今度ドンちゃんのお墓参りに行ってあげて?!』
と言われた。
私はショックだった。
何よりもパパが悲しんでない…。
少し笑っているのか…パパの気持ちが分からなかったし、めちゃくちゃ悔しかった。
子どもだったからか何も出来ない自分にも悔しかったと思う。
もっとこうしたら、ああしたらなんて今更後悔ばかり起きる。

そして今度は、私が四年生の時に、叔父の奥さん(義叔母とする)が野良猫が生んだ子猫を飼い始めた。
名前はマイちゃん。
漫画か何かでホワッツマイケル…かなんか言うものがあって、その猫にそっくりな茶色い虎柄の猫だった。
だから私がマイケルから、“マイちゃん”と付けた。
マイちゃんはシュークリームが好きだった。
普段は私とはわざわざ仲が悪かったけど、シュークリームの時は、“ニャア~。”とかわいい猫を気取る。
そんな腹黒も私に取っては見え見えなので、目が細くなっていた。
そんな私に気付いたマイちゃんもかわいい猫を気取った後に、自分の恥ずかしさに気付いてか目が細くなっていた。
まっ、そんな感じの一人と一匹だった。
マイちゃんは近所の猫の中でボスだったらしい。
義叔母からも聞いていたし近所の酒屋さんの兄ちゃんからも聞いていた。
義叔母からは、
『あなたがマイちゃんをいじめるから、外でそのうっぷんを晴らしてるんじゃないの。』
といつも言われていた。
まっ、どんな理由にせよ、その辺の界隈で一番強いということで、私はマイちゃんに、
『偉いっ!!そのままボスの座を守って!!』
と言っていた。

そんなマイちゃんも私が高校生の時に、痩せ細るくらいの病気になった。
見る見る内に痩せ細って行く姿を見たら、すぐに病院だろうと思った。
なのに誰も連れて行かない。
私は義叔母に、
『マイちゃんを病院に連れて行かないと。』
と何回も言った。
でも義叔母は、
『忙しいから無理。その内治るから大丈夫。』
と言う。
いつもは私と仲が悪いマイちゃんもさすがに私に助けを求めて来た。
だから義叔母に私も助けを求めた。
でも即拒否だった。
他の人に言っても、“忙しい。”の一言で片付けられた。
私の親は離婚していたけど、お母さんの家は二~三キロほどしか離れていない。
なのでお母さんに頼むことが出来ると思った私は義叔母に、
『忙しいって言うから、お母さんに頼んでみるよ。』
と言ったら、顔色が一気に変わって、
『そこまでしなくていい。』
と言われた。
私はこんな時に、たかが猫一匹じゃないと思った。
家族になったんだから大事な一つの命だと思った。
だけど、こんな結果だ。
お母さんにマイちゃんのことを伝えて、病院に連れて行って欲しいということを言ったら、即承知してくれた。
そのことを義叔母に伝えたら、
『そんなことをしたら、みんなにどう説明するの?!誰が連れて行った?!って聞かれるよ。』
と言うのだ。
『そんなこと言ってられない時なんだよ。マイちゃんが苦しんでるのに、“忙しい”で片付けてるのは誰よ!!お母さんに頼めないんならおばちゃんが連れて行って!!』
と言ったら、
『今までマイちゃん体調悪くなっても治ってたから大丈夫。その内治るよ。』
と言って聞き入れてくれなかった。
私が一人で連れて行けたらと思ったりもした。
でも田舎なので動物病院はそんなにない。
そして病院までは十キロほどもある。
自転車しか乗れない私は何も出来なかった。

そして数日して、私が部活中に義叔母が学校に私を探しに来たらしい。
部活が終わって誰かからその話を聞いて、すぐに家に電話をかけた。
義叔母が電話に出た。
『マイちゃんが、夕方に死んだ。あなたを学校に探しに行ったんだけど見つからなくて…。』
と言われ意味が分かった。
『今からマイちゃんを埋めるんだけど、あなたが帰って来るの待ってたの。』
と言われ、私は泣きながら義叔母の家に帰った。

義叔母の家に着いて、マイちゃんを見た。