小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

正常な世界にて

INDEX|66ページ/381ページ|

次のページ前のページ
 


「……ダイレクトメールには違いないから、確かにこっちから送りつけていることにはなっちゃうね」
高山さんが、近くの机に積まれた封筒を眺めながら言う。
「ポストにたくさん残っているぐらいだったんだよ! しかも、地面に何通か散らばっていたぐらい!」
思わず興奮しながら話してしまう私。冷静に話す高山さんとは対照的だね……。
「ああ、引っ越しの手続きをちゃんとしていなかったのね、そこの人」
「違う、そこには人が住んでた! でも、送りつけられていることに怒ってたんだよ!」
ふと気がつけば、仕事場にいた全員の視線が私に集中していた……。恥ずかしいけど、この興奮は簡単には収まらない。
「送りつけていたっていうけど、中身はまともなものだよ。ちょっと読んでみて」
高山さんはそう言うと、封筒を華麗に素早く開けて、中身の書類を私に差し出す。いきなり目の前に突き出されたので、私はそれを受け取るしかなかった。とりあえず、一枚ずつペラペラと目を通すことにした。

 ……中身は、来年に施行される障害関係の法律について書かれたものだった。少し独特な文章と書き方だけど、怒りを誘う内容ではない。
「こっちも読んでみたらどう?」
別の封筒から取り出した書類を、私に差し出す高山さん。普段と変わらない堂々とした態度だ。
 一応それにも目を通したけど、特におかしなところは無かった……。自分で言い出しておいてアレだけど、あのチェーンソー男は何で怒ったのだろうか? 頭がおかしいせいで、封筒に八つ当たりしていただけということかな? でも、なんとなく違和感は拭えない……。

「もっと読んでみる?」
封筒をさらに開けようとしている高山さん。悔しいけど、これ以上は時間の無駄だね。
「う、ううん。十分読んだから、もういいよ……」
興奮が冷めきった途端に、私は恥ずかしさでいっぱいになる。なにせ、仕事場で騒動を起こしてしまったわけだからね……。全員の視線が、まだ私に集中していた。

作品名:正常な世界にて 作家名:やまさん