正常な世界にて
ネットでも、法の力が幅を利かせていた。例えば、「障害者 迷惑」と検索をかけると、「検索結果はありません」と表示されてしまうのだ。これじゃあもはや独裁国家だね……。
世界中の多くの国々で、このような言論統制が行なわれているため、国際的に非難される事は起きていない。逆に、障害者の人権擁護のために言論統制を行なうべきだと、非難されてしまう世の中だ。
先進国のすべてが、珍しく足並みを揃えて非難するので、中小国家は従うざるをえない。そのため、私が知る限り世界中のすべての国々が、言論統制を行ない始めた。
しかも、この言論統制は、障害を持つ当事者にも適用され始めた。坂本君が、発達障害に関して自虐的なツイートをしたところ、アカウントがすぐにロックされたそうだ。プロフィールにわざわざ、発達障害者である事を記しているのにだ。
ところが、こんな酷い強制収容や言論統制が行なわれているにも関わらず、人々は無関心を決め込んでいた。逮捕が怖いからではなく、一種の正常性バイアスが働いているようにしか思えない。逮捕による強制収容を恐れているわけでなく、「自分には無関係。逮捕されるのは一部の人間だけ」というわけだ……。
今のところ、私は安全だと思う。だけど、この心情も正常性バイアスによるものかもしれない……。