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『どっかで見たことあるなぁ～。どこだったかなぁ～…。』
とその場所を探してるようだ。
なので私が読んだ場所を教えた。
『その部分で合ってる？！』
と聞いてみた。
お母さんとしては、やっぱり聖書に書いてあると言いたいようだが、
『聖書には“水でバプテスマ”って書いてあるだけで、水のバプテスマの“の”じゃないからね。そこで大きく変わってくるよ。』
と言ったら、それでもお母さんは読んだ記憶があるようで腑に落ちない様子だ。
私が、
『聖書のどこで見たの？！』
と聞いたら、お母さんはその言葉を見つけたようで、
『あった、あった。ほら、書いてるじゃない。』
と言うから、何ページかを聞いたら、
『えーっと、…あっ、この本はあなた持ってないから…。聖書じゃないの。』
と言った。
お母さん、せめて共通の本見ながら話し合おうよ…と私は思った。
『聖書のどこか聞いてるの。』
と言うと、
『知らない。』
の一言だった。
そんなお母さんの答えを待っていてもらちがあかないので、
『お母さん、どうもバプテスマって人が勝手にしちゃいけないみたい…かも…。神様とキリストがチェンジしてからは、神様たちが勝手にバプテスマを施すみたい。聖書読んでみるとこれってどうも裁きみたいだよ。』
と言うと受話器の向こうのお母さんが驚いたのを感じた。
『裁き？！どういうこと？！そんなの聞いたことないよ。』
と言うので、
『この宗教では、神について証すものになるわけだけど、受ける時に、“受けるべき人間である。”って受ける本人が思うわけでしょ。その心に偽りがあったらその心を裁くわけだから、…考えたら恐ろしくなった。今は神様たちがしてるのに、それを人間が勝手にするとどうなるかだよ。その後は分からないけど、おばちゃんたちは勝手にしてるってこと。』
と出来る限りの説明をした。
お母さんは兎に角驚いているようで、
『えーーーっえーーーっえーーーっ！！』
と声を上げるだけだった。
『じゃあ、その宗教のバプテスマを受ける時に、神とキリストと聖霊がそこにはいてその三つが何かしてくれてるの？！それなら良いけど…。神様たちはそこには来てないけど、その代わりに宗教の誰かがしてますって言うのは、神様たちの権利を取ってるってことになるからね。神について証すんだから、神様の上に立っちゃいかんでしょ～。』
と私の思いを言った。
お母さんはたまげたまんまなので、
『別に、お母さんに受けるの止めたらって言ってるんじゃないよ。聖書を読んで私はそう理解しただけだからね。そこはお母さんの自由だから、受けるための勉強を頑張りたいなら頑張ればいいの。』
と言った。
そしてお母さんは一言、
『バプテスマ受けるの止める…。』
と力なくそう言った。
私としては“あらま…。そういう意味じゃないのに…。”と心に小さな落胆が通り過ぎた。