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月とコンビニ
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灯はずっと消えないで

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灯はずっと消えないで【著】   
ぼぶ→大島
【ページ数】6ページ
【登場人物】3人
・男
・女
・春川


●男 登場、歩きながらタバコを咥え、火をつけようとする、神社の祭りに気づき眺める。
男「もうそんな時期か…」
●男 ハケ
●女 登場、神社の鳥居でポツンと独り立っている
女 「…………」
●男 登場、女を見つけ、なんとなく声をかけてみる
男「…独り?」
●女 男のかけ声に驚くも、直ぐに地面に目を下ろす
女「…………待ってるんです」
男「友達?…それとも彼氏?」
女「…どっちも不正解です」
男「…じゃあ家族か」
女「…それも不正解。」
●男 吸っていたタバコを地面にすて、火を消す。
男「全部外れか…それじゃ、誰を待ってるのさ?」
●女 男を見て、また地面に目を下ろす。しばしの沈黙の後顔を上げる
女「……私を置いていった、彼氏です」
男「なら最初の答えで正解だったじゃないか」
女「…そうですね。正解であって不正解なんです」
男「どういう意味だ?」
女「もう…5年前から待ってるので。彼氏と言っていいのか、悪いのか」
男「…なるほど、それで不正解、ね」
女「……はい。」
●男 女 沈黙。女 男に問いかける
女「……貴方もお独りなんですか?」
男「…あぁ。ここの祭りを見かけてね。自分でもなんの気まぐれかわからんが、覗いて行  こうかと。」
女「…お祭り、お嫌いですか?」
男「え?」
女「すみません、そう感じたので」
男「……苦手、かな」
女「……苦手、ですか」
男「もう10年も前の話だが…その時好きな子がいてね。その子が祭り好きで、この時期になると一緒に祭りに行ったんだ。」
女「そうなんですか。でも、苦手になるような所がないですね」
男「その子…もういないんだ」
女「えっ?…ごめんなさい」
男「…昔の話だ」
女「…私の彼氏もお祭り好きでした。もちろん私も。」
男「そうなのか?」
女「えぇ…でも大好きなお祭りで、大好きな人に置いていかれました」
男「笑顔なのに言っていることはとても悲しいな」
女「5年も経つと悲しみも薄れます」
男「…強いんだな」
女「そんなことありません。」
男「少なくとも、俺よりは強い。俺は未だに悲しみが薄れていかない。」
女「私と事の大きさが違います」
男「それでも、君は強いと思う」
女「……ありがとうございます」
男「……君はこのままここで待つのか?」
女「はい、終わりまで。独りで回ってもつまらないですから」
男「……なら俺と回らないか?」
女「え?」
男「せっかく祭りに来てるんだ、何もしないで終わるなんてもったいない。それにこれも何かの縁だ。…どうだい?」
女「……………」
男「無理にとは言わないが…」
女「そうですね、一緒に回りましょうか。でも、苦手なお祭りですけど、大丈夫ですか?」
男「もともとは俺も祭り好きだ。君に勇気をもらって、言ってるんだ」
女「…そうですか、なら良かったです」
●男 女 祭りへ歩き出す
 男 女 ハケ
BGM:JITTERIN\\\' JINN 「夏祭り」
『君がいた夏は遠い夢の中
 空に消えてった打ち上げ花火』

●二人で祭りを楽しむ。
たこやき、かき氷、金魚すくい、射的、ヨーヨー釣りなどを一通り遊び、とても楽しそうな二人。
祭りを一通り楽しんで、屋台から少し外れた路地で小休憩。
男「いやぁ~久々にこんなはしゃいだかも。」
女「私もです。」
男「てか、あの射的絶対インチキだよな。」
女「確かに。ピクリとも動かなかったですもんね。」
男「悔しいなぁ~。」
女「あ、そうだ。私綿あめ買うの忘れてました。」
男「まだ食べるの?」
女「今日はいいんですよ。」
男「じゃあ俺が買ってこようか。」
女「大丈夫ですよ。すぐ近くに見かけたんでちょろっと今買ってきちゃいます。」
男「そうか。気をつけろよ。」
●女、綿あめを買いに行く。
 春川、イリ
男「……」
春川「随分と楽しそうじゃない~。」
男「……」
春川「勘違いしちゃうよ?彼女。」
男「人のデートをのぞき見するなんて、いい趣味してないな。」
春川「私とのデートをほっぽり出しといてその返しは無いんじゃないの~」
男「デートの約束なんてしてないだろ。」
春川「してないね~。」
男「誰とデートしようと俺の勝手だろ?」
春川「うん!すご~く勝手!私が言うのも何なんだけどな!」
男「自覚あるのかよ。」
春川「もちろん!」
男「だから厄介なんだよな。」
春川「ロンピいる?」
●春川、煙草を吸い出す
男「いらない。それに自分で持ってるから。」
春川「やっぱりまだ持ってるんだ~。」
男「歩き煙草はいい加減やめろよ。」
春川「誰にもぶつからないから、だいじょうブイ!」
男「それでもやめろ。」
春川「やめません!」
男「ったく。」
春川「やっぱロンピってゆったりした時間をじっくり楽しむためのタバコだと思うんだよね~。」
男「急に煙草について語りだすな。しかも女が。」
春川「ぶーぶー。」
男「分かったから。」
春川「ところでさ~話がクルっと変わるんだけど~。」
男「なんだよ。」
春川「あの子って、おかしいよね。」
男「まぁな。」
春川「即答だね。いなくなった彼氏を五年も待ってるなんてさ。」
男「俺が言えたことじゃないんだけどね。」
春川「その通りですね~全く。」
男「でもいい子だよ。」
春川「……」
男「気遣いも出来るし、優しいし、一途だし。きっと煙草なんて吸わないだろうな。まさに理想の女の子だ。」
春川「確かに理想かもね~。」
男「なんで嬉しそうなんだよ。」
春川「なんでも~。」
男「わっかんねーなー。」
春川「例えばの話していい?」
男「なんだよ。いきなり。」
春川「いいから。例えばね、この先に見える神社に恋の神様がいたとして~」
男「なにそれ。」
春川「最後まで聞いてよ!」
男「分かった。分かった。」
春川「それでね、夏祭りにトラウマを抱えた二人が偶然出会って、その二人がこれからその神様にお願いをしに行くってなったら二人はいったい何を願うと思う?」
男「それはー…相手の願いが叶いますように。とか?」
春川「ほほほ~」
男「なんだよ。恥ずかしいな。」
春川「いや、きっとあの子も同じ事を願うんじゃないかな~と思ってさ~。」
男「なんだよ、それ。」
春川「それからさ!」
男「今度は何。」
春川「神様の使いみたいな人達がね!二人の為に舞ったり踊ったり応援してくれるんだよ。ガンガンガンって!そしたら二人もそれに応えようと一歩ずつ登って行くんだよ!あの階段をさ!」
男「え?何の話?」
春川「例え話だよ。」
男「例え話か。」
春川「いいと思う。うん。凄くいい。」
男「だから何がだよ。」
春川「私の例え話どうだった?」
男「え?どうだったって。」
春川「どうだった?」
男「………うーん。よく分からなかったけど…」
春川「うんうん。」
男「一歩くらいは進める気はしたかな。」
春川「そっか~。でも無理だと思うよ。」
男「え?」
春川「無理でしょ~。」
男「無理ってなんだよ。」
春川「その辺は自分が一番分かっていると思うけどな~。」
男「なんだよそれ。」