Neutopiaの恋人
掴む怪力が、みるみる鬼の領域に達したーーギュルムムムという未だ嘗て聞いたことにないsound effect。胃の腑に冷たい血が通い、死を予見させるemergencyが赤くフラッシュする。「うん、Dragon typeのtattooは、さすがにパワーがあるわね。このまま締め壊そうかしら?」彼女の顔は見えないが、きっと笑っている。もしくは無表情だ。少なくとも、今僕が感じている悲壮感や、絶望は、その断片すら彼女の顔面にないはずだ。僕にーー『怒り』が芽生える。それは冷たく青い光のvisual effectを伴って、大気に満ちるーーこのまま死ぬなんて、余りに不条理過ぎる。もしも万が一、本当に僕がモブであり、彼女によってプログラムされたとするならば、なんで彼女は僕にーーこんなにもREALな感情を備え付けたのだ?僕がただの木やベンチなら、こんな遣る瀬の無い感情なんて必要なかったはずだ!
「消えなさい」
加賀美テル……クラスの誰とも交わろうともしない君のスタイルに僕は、ある種の気高さのようなものを感じ取っていたんだ。僕と何処か似ていると思っていた。君のことが……好きだったんだ僕は……
作品名:Neutopiaの恋人 作家名:或虎