しらない子
そうして少年を頭のてっぺんからつま先までしげしげとながめました。
真夏だというのに長袖のシャツを着て、濃い緑色の半ズボン姿です。おまけに白いソックスと靴まで履いています。こんなにきちんとした格好をしている子はどうみてもいなかの子どもではありません。
「あんたさあ。もしかしたら東京からでも来たんじゃないの? この辺じゃみかけないもん」
また少年はゆみの質問には答えずに言いました。
「このまり、貸して! やってみたいんだ」
ゆみはむっとして
(なんなの? こいつ)
と内心思いましたが、
「いいけど、あたしが帰るまでには返してよ」
少年はうれしそうに、少し離れたところでまりつきをはじめました。