お母さんとの電話。~宗教について…。~
『宗教というものは人が作ったもので、私が作ったものではありません。だからと言って宗教をしてはいけませんとは言いません。何をしたいかを選ぶのも一人一人の考えのもとですからね。なので今このような状況になったからと言って私を信じないといけないわけではありませんよ。たまたまこのような形で知り合いになれたのですから、私は仲良くしていきたいとは思っていますが…。それを選ぶのもその人の自由ですよ。』
と上は言った。
『…どうしよう…。何か今の宗教が本物だと思って来たけど、違う気がしてきた…。でも、上は宗教をしても良いと言ってるけど、宗教の勉強で“偶像崇拝はダメ。偶像崇拝は罪。”とか、“何かを拝んではダメ。”って習ってて…。確かにそれは正しいと思うんだけど…、聖書にもそう書いてあるし…。』
とお母さんが言うので上が、
『確かに、聖書にはそのようなことが書かれていますが、どうしてそのようなことを私が言ったかと言うと、“誰かが作ったものを崇拝して、その作られたものが直接助けてくれたことがありますか。その作られたものが助けてくれなかったからと言って、神を責めるのは間違っていますよ。”と言いたかったのです。昔にそういうことがあったのですね。だからと言って、偶像崇拝をしている人を責めるわけではありません。それもその人が選んだのですからその人の自由ですね。自由の中には必ず責任があるので、その行いは私の行いではなく、その人一人一人の行いとなりますね。それと私は拝まれることは嫌いです。お母さんに聞きますが、誰かから拝まれたいですか?もちろん拝まれたいと思う人もいるでしょうから、一人一人の思い方もいろいろあるということですね。』
と言った。
お母さんは上の言葉にかぶせ気味で、
『ないよ、ないよ!!そんな人から拝まれたいとかないよ~。』
と言った。
『ということは、少なくともお母さんは拝まれたくない側ですね。』
と上が言った。
『それよりも、偶像崇拝についてだけど、今言われたことで何か引っかかってたものが取れた感じがしたの。“あっ、そういうことかぁ~。”みたいな感じ。だからお母さんはやっぱり偶像とかがあるお寺とか神社とかは行かない。勉強で悪者って教わってるから、お母さんはそっちを信じる。』
とお母さんは自分の考えがあるようだ。
『しかし、そのような偶像や装飾品を作っている人たちの努力を私は認めていますよ。何年も何十年も掛けてきた技術がその人たちにはあるので、私だったら“素晴らしい”と褒めてしまいます。そのような努力を上からだけではなく、近くまで行って見たいと私は思うので、見ているのかもしれませんね。』
と上は独り言のようにそう言った。
お母さんはそれを聞いて、
『あ゛っ!!』
とまた言った。
そして続けて、
『あ~、あ~、あ~、さっきお寺とか神社には行かないと言ったけど…、取り消す…。やっぱり行く…。そして人の努力を感じたいと思った…。』
とバツが悪そうにそう言った。
上は軽く笑うと、
『いいんですよ、いいんですよ。どんなきっかけで人の考えが変わるかは分かりません。一生変わらない人もいれば、お母さんのように何かに気付いて一瞬で変わる人もいるのですから。』
と言った。
そんな話を聞いて私は、
『上の存在を信じてはないけど、宗教の人から教えてもらう勉強より、上の方がツメが甘くない気がする…。宗教のおばちゃんって上について証す人なんだよね?!それなのに最低でもここまでも話してくれない気がする…。大事なことは小出しにするし…。本当のことを知りたいんですって言っても、返事だけ良くてやっぱり答えを濁すし…。何でも分かりますって言うくせに、“分かりません”ってはっきり言うし…。いつまで勉強したらいいんだろうって思ってたし…。』
とお母さんに言った。
『お母さんね、勉強止めようかって思い始めちゃった…。』
とお母さんの口から出た。
『えっ?!お母さんに言われて始めたんだよ!!そのお母さんが止めたら、本末になる~!!』
と私は叫んだ。
『分かってる、分かってる。まだ止めると決めたわけじゃないからね。もう少し続けてみて考える…。あなたは…止める?!』
とまた勝手なことを言ってきた。
私は何のためにやってるんだろう…。
そんな私に上は、
『止めたいのなら止める。続けたいのなら続ける。自分の自由ですよ。私が悪者かもしれなくて、宗教のおばちゃんが本物かもしれないし…。それは自分で決めることですよ。』
と言った。
それを聞いたお母さんは、
『はぁ~。決断が鈍るわぁ~。』
と溜息混じり言った。
私は様子を見て、おばちゃんに上の話をしてみて、それから考えようと思った。
作品名:お母さんとの電話。~宗教について…。~ 作家名:きんぎょ日和