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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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お母さんとの電話。~上が喋った…。~

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一番上が現れてお母さんもテンパっていた。
ついに上の声が聞こえたので、お母さんに電話をかけた。

お母さんは相変わらず安定して電話に出る。
『はい、もしもし。また何かあった?』
とお母さんは言ったけど、私は慌てていた。
『お母さん、お母さん、ついに上が喋った…。』
と絞りだすように言った。
上と話した時は落ち着いていたけど、いざそのことを人に話すとなると慌ててしまうようだ。
受話器の向こうでお母さんは飛び上がったのだろうかというほど驚いて、
『上が喋った~…!!ついに喋ったか~!!』
と私に言っているよりも自分に言い聞かせているように感じた。
お母さんはそのまま続けて、
『それで何て言ったの?!どんな声だった?!』
と聞いてきた。
『何て言ったか…。勉強してたら姿が見えて、ガックリ頭を落としてる姿が見えて、“そうですよ。私だってガックリすることもありますよ。”って言った。』
と私が言うと、
『はぁ~、何それ?!何なのそれ?!神様がガックリ~???意味が分からない。』
とお母さんは呆れたのかそう言った。
その反応に上が苦笑いをしている。
そのことをお母さんに伝えるとあたふたし始め、
『あっ、あっ、いや、あっ、別にバカにしたわけじゃ…。』
と何が言いたいやらさっぱりな返事に上が、
『お母さん、私がガックリ頭を落としてはおかしいですか?』
とニコニコして聞いてきたので、私がそれを伝えると、
『いえ、そんなことはありません。』
と何故か敬語で返してきた。
上は軽く笑うと肯いた。
それをお母さんに伝えると、
『えっ?!神様って笑うの?』
と聞いてきた。
私が何かを言う前に上が、
『私は笑ってはいけませんか。』
と言うのでお母さんに伝えた。
またもお母さんは、
『いいえ、いいえ、どうぞ笑ってください。』
とまた敬語になった。
私としては難しい立ち位置だ…。
そんなことよりも、
『お母さん、まだ本当に神様か分からないし、悪者が良い人ぶって信じ込ませようとしてるかもしれないんだからそんなに安々と信じない方がいいよ。神様だって本当に良い人か分からないんだし…。』
と私は信じすぎそうなお母さんをなだめた。
でもお母さんの返しは違った。
『いいえ、その人は神様です。少なくてもお母さんは信じてます。今まで何人も神様と話が出来るっていう人に会ってきたけど、ここまではっきり話す人はいなかったし、少し話しては会話を濁して行ってたの。そんな人ばっかりだったの。そしてだんだん胡散臭くなって行くのよ…。』
と経験談を返してきた。
『よくもこんな得体のしれないものを信じるなんて…。私の勝手な妄想だったりウソだったりするかもしれないのに…。意味が分からんわ。』
と私は言い返した。
『それじゃあ何?!あなたは妄想をお母さんに話してるの?!ウソをお母さんに話してるの?!えっ!!』
と怒鳴ってきた。
私はたじろいで何か言い返そうとしたら上が、
『親子喧嘩ですか。いいじゃないですか。人それぞれ言い分があるということですね。大いに自分の思いを言うことは良いことですね。』
と言葉が届いたのでお母さんに伝えた。
お母さんはどうだと言わんばかりに、
『ほ~らみなさい。悪者じゃないわよ。』
と言ってきた。
そしたらまた上が、
『お母さんは私を信じてくれているんですね。ありがとうございます。』
と言ったので、私は伝えたくもないのに、体の中から押されるので、言わざるを得なくなりお母さんにまた伝えた。
『はぁ~!!ありがとうございますって…!!絶対本物…。今までの人たちは全部命令口調。“何しろ!あれをしろ!私のためにどうしろ!”ばっかりだったの。娘は信じていませんけど私は信じています。』
と誰に向かってかそうお母さんは言った。
上;(以下;[上])
『いろいろな宗教をして来たようですね。私、見ていましたよ。』
とここから私を仲介して上とお母さんの会話になった。
それを聞いてお母さんは驚いて、
『えっ!!見られてたの???どこから?!』
と言うと、
[上];『さあどこからでしょうか。もしかして直ぐ側にいるのかもしれませんね。』
『どこ?!どこ?!』
とお母さんが言うと、
[上];『あっ、お母さん、キョロキョロと探しても私を見ることは出来ませんよ。』
上のその言葉にお母さんが固まった。
『…どうして分かったの?!』
とお母さんが聞いてきたので、
『知らないよ。大体どこどこって探してたらキョロキョロしてると思われるよ。』
と私は答えた。
『そりゃそうよね。』
とお母さんは納得したようだ。
[上];『私が見えては、人は良いことしかしなくなるでしょう。それは私のせいになってしまうので、誰にも見られてない時に人の本当の姿が出るのかもしれませんね。悪いことをしたらバチが当たるということは、人には見えない私がいるのかもしれませんね。』
『はぁ~、そりゃそうだ。本当は悪いことをしたいんだけど、見られてたら出来ない。でも見られてなかったら悪いことしたい人は悪いことをするってことだ~。』
とお母さんはまた一人納得していた。
[上];『そういうことも言えますね。』
と上は言うのだった。

そんな二人のやり取りを私は仲介しながらも客観的に見ていた。
上の言葉をお母さんに伝えるだけ伝えながらどこか上の空な感じだった。
そんなやり取りをしながら、上やらキリストやらが見える空間にふと第三の目が行った。
そこに見えたのは宙に浮いている上だった。
私はたまげて、
『お母さん、お母さん、上がはっきり見えた~!!今目の前…、第三の目で見るところ…。そこに上が宙に浮いてる。前から風を浴びてるのか髪の毛も一枚布の服もなびいている。この人が神様なの?!』
とお母さんに聞いたら、
『えーーーっ!!とうとう見えたのーーー?!どんな姿?!』
と逆に聞いてきた。
『髪の毛は白髪のようなシルバーのような感じで少しパーマ掛かって…、長さは長い。…背中の真ん中くらい…かなぁ~。背は高いと思うよ。顔はシワが多い。』
と説明しているとお母さんから、
『ちょっと待って!!そんなことを聖書の何処かに書いてあった気が…する…。』
と言って、聖書を調べ始めた。
私は“マジでっ?!”と思った。
しばらく待っていたら、
『あった、あった。あなたも聖書開いて。啓示っていうところ。ここにあなたの言った姿と同じこと書いてある。…間違いないわ!!その人神よ、神。…凄いわぁ~!!…お母さんはずっと神様はいるって信じてたから、今ここで確信した。あなたは信じなくてもいいから、このまま神様と話し続けてよ。あなたは仲介するだけなんだから、信じようが信じまいが関係ないの。だからそこはお願いよ。』
と一方的に言い放った。
確かに言われたところに私の見ている人と同じ姿について書かれていたけど、こんなことをすんなり信じるお母さんに呆れていた。
あまりにもオカルト的過ぎて、非現実にも程がある。
そんな言い分もお母さんに言ってはみたけど、片手で払われておしまいだ。
『お母さん、信じるのは人の自由かもしれないけど、やっぱりこんなこと信じ過ぎるのは危ないよ。まだ上が誰かも分からないんだし…。半信半疑くらいでいた方がいいと思うよ。』
と言ってみた。