The Jamming Converter girls
初放送開始!
「みなさん。みなさん。聞こえますか」
「あー、あー、聞こえますか」
北陸地方のコミュニティFM局が開局した。
「ねえ、カセットテープを」
「はい」
「再生ボタンをおして」
軽快な音楽が流れ、コミュニティFMの最初の電波が流れた。
「みなさん。はじめまして。私たちジャミング・コンバーター・ガールズです。よろしく」
開局したばかりのコミュニティFM局の最初の放送は、まだ誰も聞いていないかもしれない。
「こんにちわ。私たち番組、コンバーターショーにようこそ。微弱な電波で雑音まみれですが、生放送を聞いている皆さん、動画投稿サイトもよろしくお願いします」
「で、私たちのベジタリア・アイドルカフェは土曜日と日曜日にライブを行います。是非とも来てください」
「で、祝電を紹介します」
渡された電報の祝電を読む。
「駅前でのゲリラライブ、おつかれさまです。今は多くのローカルアイドルが乱立しています。ベジタリア・アイドルカフェもちょくちょく遊びに来ますからよろしくお願いします」
「ねえ、私たちの衣装は」
「高校の学生服」
「それって、地味すぎない」
「でも予算がなくて」
「で、パンツを見えないために短パンを履いています」
「でも、よくカフェが営業できた場所が借りられたわね」
「それは芸能プロダクションの松本さんのおかげ」
「松本さん、恥ずかしがらないで来てください」
二十代男性のマネージャー、松本さんが登場した。
「はじめまして。みなさん。でも、どれくらいの人が生放送を聞いているの」
「そ、そんなことを言わないの」
「では自己紹介をします。今は西暦二二○七年一月。ジャミングガールズは超古典的文化活動の保護をしています。古典といってもアイドル産業は、もう四世紀になるのですね」
「そう。私たちは日本のアーミッシュ。とても古い機械が好きなの」
「で、立体プリンターでカセットデッキやビデオデッキも作るので」
「いや、ローテクもいいのよ」
「日曜大工感覚で」
「それでは、自己紹介を」
初めに今まで運に見放されたマネージャー、松本さんの紹介。
「松本です。クラッシックソングの作詞家と同じ名前で光栄です」
「次は」
「私がセンターの優です」
「私、林藍」
「私は七海」
「私、篠」
「あと、三人いますが今日は高等部の補習があって」
「でも、補習なんて大変そう。わざわざ金土日に学校に行くなんて」
「しかたないわ。今は暗記よりも思考の時代だから」
「ねえ、みなさん。ほとんど動画を見ていると思うけど、ぜびとも、私たちを応援してください」
「では次の祝電を」
「あらビデオカセットだわ。今でもあるなんて」
「古いことへのこだわり。今は体内マイクロチップにビデオも記憶できるからデーターをなくさないし、あとクラウドにも保存できるから端末のメモリーは小さすぎても大丈夫」
「でも、文明が進歩しすぎて、逆に怖いわね」
「そうよね」
「では、カセットテープから私たちの歌、『この一瞬のために』」
自作のカセットテープデッキを再生させた。
音質が悪いけど録音と再生もできる。
だって、アナログは音が柔らかいから。
私たちは八百屋と喫茶店を同時に営業しているローカルアイドル。