Tomorrow Never Knows
「わたしとの関係がバレたのか? わたしと別れたことを言ってなかったのか?」
「ごめん、荷物を取りに来ただけだから」
彼女はわたしと一切目を合わせずに言い放った。自分宛の郵便物をバッグに詰め込み始める。さっき届いた妻宛ての矯正下着を見つけ、少し考えてから、それもバッグに詰め込んだ。
「考え直せないか」
我ながらドラマのセリフのような言葉に少し照れを感じたのか、それは思ったより小声になっていた。
「息子もきみをママだと慕ってる。妻とももう、別れる準備はできてるんだ」
「好きな人ができたの」
彼女は、やっとわたしを見た。
「好きな人って、誰だ」
「マーくんの知らない人」
マーくん…… その呼ばれ方は、久しぶりな気がした。そして、おそらくこれがほんとうに最期なのだろうと直感で悟った。
「今度こそ、運命の人かも」
そう言って、彼女は部屋を出て行った。
作品名:Tomorrow Never Knows 作家名:しもん