通り雨の中で
私は、また泣いていた。
笑っているのに、泣いていた。
「あははは」
声を出して、笑いながら歩いた。
家に向かって。
すれ違う小学生が、不思議そうにこっちを見ていた。
私はもう、その子から目を背けなかった。
小学生に、私の心がわかってたまるか。
そんな気分だった。
さっきまで、あんなにうるさく感じた町の喧騒も、今では何とも思わなかった。
「本当にそれでいいの?」
だれかがつぶやいた。
振り返る。誰もいない。
「本当に、それでいいの?」
また、誰かが問いかけてくる。
私は、一度立ち止まって、自分に問いなおした。
本当に、これでよかったのだろうか。
そして、結論を出した。
私は、迷いを振り払うように、駆け出した。