お姫様の決断
そう言ってビオラは、台車からトマトを一つつかみ、一口かじりました。まるで果物のような甘さが、口いっぱいに広がりました。
「言うことなしね、すごくおいしいわ」
「そいつはどうもだ。姫様」
「ねえポタ」
「なんですかい? 姫様」
「あんた今、幸せ?」
ポタは笑顔でうなづきました。
「ああ、とってもとっても幸せだ」
ビオラは満足そうにトマトをもう一口かじりました。倉庫の天窓から降り注ぐ太陽の光が、トマトを赤く照らしました。
「そう」
「それはそうと姫様。おらも一つ言いたかったことがあるんだ」
「なによ」
「パラス王子とおら、なんだか似ていないか?」
ビオラはヒールでポタの足を思い切りふんづけました。
こうして、ビオラ姫とパラス王子。ポタとリディアは、いつまでも幸せにくらしました。
おしまい
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